強皮症患者に発生した再発性小腸軸捻転症に対し腸間膜固定術を施行した1例

症例は80歳の女性で,78歳時より全身性強皮症で加療中であった.腹部膨満感と嘔吐で発症し,腹部CTでwhirl signを認め小腸軸捻転症の診断で緊急手術を施行した.上腸間膜動静脈を軸として小腸が反時計回転に540度捻転していた.腸管壊死は認めず,捻転解除のみを行った.しかし,術後39日目に腹痛が出現し,腹部CTで再度whirl signを認め,小腸軸捻転症再発の診断で緊急手術を施行した.前回と同部位で小腸が時計回転に180度捻転していた.捻転解除後,Childs-Phillips法に準じた腸間膜固定術を行った.小腸軸捻転症に対する固定術の有用性は明らかでないとされるが,再発例では固定術を考慮...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 5; pp. 571 - 576
Main Authors 竹内, 仁司, 田中, 屋宏爾, 森廣, 俊昭, 藤原, 裕子, 竹原, 清人, 青木, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.571

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Summary:症例は80歳の女性で,78歳時より全身性強皮症で加療中であった.腹部膨満感と嘔吐で発症し,腹部CTでwhirl signを認め小腸軸捻転症の診断で緊急手術を施行した.上腸間膜動静脈を軸として小腸が反時計回転に540度捻転していた.腸管壊死は認めず,捻転解除のみを行った.しかし,術後39日目に腹痛が出現し,腹部CTで再度whirl signを認め,小腸軸捻転症再発の診断で緊急手術を施行した.前回と同部位で小腸が時計回転に180度捻転していた.捻転解除後,Childs-Phillips法に準じた腸間膜固定術を行った.小腸軸捻転症に対する固定術の有用性は明らかでないとされるが,再発例では固定術を考慮する必要があり,本法は有用な術式と思われた.また強皮症と小腸軸捻転症の合併例の報告はまれであるが,関連性が示唆される症例と思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.571