S状結腸癌孤立性膵転移の1切除例

大腸癌の膵臓転移はまれとされ,外科的切除となることもまれである.今回,我々は大腸癌術後に膵腫瘍を生じ,原発性,転移性の鑑別に苦慮し,外科的に切除可能であったまれな1切除例を経験したので報告する.症例は62歳の女性で,2007年S状結腸癌にてS状結腸切除術+D3郭清を行い,病理組織にてpSi(後腹膜)pN0pH0pP0pM0 stage IIと診断した.2009年腹部造影CTで膵尾部にlow density area(LDA)を,PETでFDG集積(SUV max 9.1)を認め,膵悪性腫瘍と診断した.同年膵体尾部切除術を施行した.病理組織で以前のS状結腸癌と類似した組織像を呈していた.また,遺...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 6; pp. 767 - 772
Main Authors 宮崎, 道彦, 宮本, 敦史, 辻仲, 利政, 中森, 正二, 池永, 雅一, 末田, 聖倫, 三嶋, 秀行, 辻江, 正徳, 安井, 昌義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.767

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Summary:大腸癌の膵臓転移はまれとされ,外科的切除となることもまれである.今回,我々は大腸癌術後に膵腫瘍を生じ,原発性,転移性の鑑別に苦慮し,外科的に切除可能であったまれな1切除例を経験したので報告する.症例は62歳の女性で,2007年S状結腸癌にてS状結腸切除術+D3郭清を行い,病理組織にてpSi(後腹膜)pN0pH0pP0pM0 stage IIと診断した.2009年腹部造影CTで膵尾部にlow density area(LDA)を,PETでFDG集積(SUV max 9.1)を認め,膵悪性腫瘍と診断した.同年膵体尾部切除術を施行した.病理組織で以前のS状結腸癌と類似した組織像を呈していた.また,遺伝子解析でk-ras遺伝子変異は両者から見いだされなかったが,p53遺伝子exon5のcodon176にTGC→TACの共通の遺伝子変異が認められた.組織像および遺伝子変異の共通性からS状結腸癌膵転移と診断した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.767