疝痛発作時に血清CA19-9の上昇を認めた脾類上皮嚢胞の1例

症例は57歳の女性で,約3年前より脾嚢胞性病変を指摘されていた.2度の上腹部疝痛発作を主訴に来院した.発作時腹膜刺激症状および血清CA19-9の異常高値,CTでは脾嚢胞を認めたが嚢胞壁の形態変化なく腹水はなかった.保存的加療にて一時軽快したが,症状が再燃したため腹腔鏡下脾臓摘出術を行った.組織学的には脾類上皮嚢胞と診断され,嚢胞壁の一部に出血,壊死巣を認めた.嚢胞内のCA19-9は高値で,免疫組織学的には類上皮に一致してCA19-9がびまん性に陽性であった.術後経過は良好で,術後1か月で血清CA19-9値は正常化した.嚢胞壁一部の出血,壊死により腹部疝痛発作,血清CA19-9値の上昇を来したと...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 5; pp. 563 - 570
Main Authors 西坂, 隆, 小橋, 俊彦, 板本, 敏行, 三口, 真司, 漆原, 貴, 中原, 英樹, 眞次, 康弘, 大森, 一郎, 恵木, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2011
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.44.563

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Summary:症例は57歳の女性で,約3年前より脾嚢胞性病変を指摘されていた.2度の上腹部疝痛発作を主訴に来院した.発作時腹膜刺激症状および血清CA19-9の異常高値,CTでは脾嚢胞を認めたが嚢胞壁の形態変化なく腹水はなかった.保存的加療にて一時軽快したが,症状が再燃したため腹腔鏡下脾臓摘出術を行った.組織学的には脾類上皮嚢胞と診断され,嚢胞壁の一部に出血,壊死巣を認めた.嚢胞内のCA19-9は高値で,免疫組織学的には類上皮に一致してCA19-9がびまん性に陽性であった.術後経過は良好で,術後1か月で血清CA19-9値は正常化した.嚢胞壁一部の出血,壊死により腹部疝痛発作,血清CA19-9値の上昇を来したと考えられた.血清CA19-9が高値を示した脾嚢胞の本邦報告例は28例で,これらに自験例を加えて検討した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.563