胃癌手術症例に対する術前大腸内視鏡検査の検討
はじめに : 胃癌と大腸癌は重複する頻度が比較的高いと報告されているため,当院では胃癌患者の大腸癌の重複の有無を診断する目的で,胃癌の術前患者に対して大腸内視鏡検査を施行している.方法 : 当院で2004年から2009年に既に大腸癌の診断が得られていた症例を除いて胃癌術前に大腸内視鏡検査を行った293例を対象とした.年齢の中央値は65歳,男性:204例,女性:89例,大腸癌の既往歴のある症例は8例,胃癌発見の契機は腹痛が89例,検診発見が83例,貧血が32例,その他が89例であった.大腸癌を合併した症例と合併しなかった症例で臨床病理学的特徴を比較検討した.結果 : 大腸に病変を認めなかったのは...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 6; pp. 665 - 669 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.06.2011
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.44.665 |
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Summary: | はじめに : 胃癌と大腸癌は重複する頻度が比較的高いと報告されているため,当院では胃癌患者の大腸癌の重複の有無を診断する目的で,胃癌の術前患者に対して大腸内視鏡検査を施行している.方法 : 当院で2004年から2009年に既に大腸癌の診断が得られていた症例を除いて胃癌術前に大腸内視鏡検査を行った293例を対象とした.年齢の中央値は65歳,男性:204例,女性:89例,大腸癌の既往歴のある症例は8例,胃癌発見の契機は腹痛が89例,検診発見が83例,貧血が32例,その他が89例であった.大腸癌を合併した症例と合併しなかった症例で臨床病理学的特徴を比較検討した.結果 : 大腸に病変を認めなかったのは167例(57.0%)で,憩室など非腫瘍性病変を44例(15.0%),腫瘍性病変を82例(28.0%)(腺腫:70例,大腸癌:12例)に認めた.大腸癌の壁深達度はMが3例,SMが2例,SEが7例で,その治療は4例に内視鏡治療,8例に術中同時切除が行われた.大腸癌合併の有無と胃癌の臨床病理学的特徴に関する検討では,貧血が胃癌の発見の契機となった症例や大腸癌の既往のある症例で大腸癌を合併する割合が高かった(p<0.01).考察 : 胃癌術前症例に対する大腸内視鏡検査による大腸癌発見率は比較的高く,特に貧血を伴う患者や大腸癌の既往のある患者には大腸内視鏡検査によるスクリーニングを行う意義があると考えられた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.44.665 |