慢性関節リウマチにおける血漿中オピオイドペプタイドの変動

以前より, 中枢神経に存在するアヘンアルカロイドに対するレセプターの存在が推定され, 研究が積み重ねられていた. 1970年代前半には, その存在が確認され, また, そのレセプターに対応する内因性物質の研究がなされた. 1975年, Hughesら1)により強力なオピオイド活性を持つ5個のアミノ酸よりたる2種類のペプチドが, ブタの脳より分離された. これらは, methionine-enkephalin(Met-enkephalin), leucine-enkephalin(Leu-enkephalin)と命名された. その後, β-endorphinをはじめとする各種のニューロペプタイド...

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Published in炎症 Vol. 10; no. 1; pp. 39 - 42
Main Authors 柳川, 明, 高橋, 秀仁, 中川, 武正, 水島, 裕, 松井, 秀樹, 星, 恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 1990
日本炎症学会
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ISSN0389-4290
1884-4006
DOI10.2492/jsir1981.10.39

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Summary:以前より, 中枢神経に存在するアヘンアルカロイドに対するレセプターの存在が推定され, 研究が積み重ねられていた. 1970年代前半には, その存在が確認され, また, そのレセプターに対応する内因性物質の研究がなされた. 1975年, Hughesら1)により強力なオピオイド活性を持つ5個のアミノ酸よりたる2種類のペプチドが, ブタの脳より分離された. これらは, methionine-enkephalin(Met-enkephalin), leucine-enkephalin(Leu-enkephalin)と命名された. その後, β-endorphinをはじめとする各種のニューロペプタイドが下垂体をはじめとする脳, 副腎髄質, 交感神経系, 消化管, 膵臓など種々の臓器より抽出, 同定された. これらの多様なニューロペプタイドは, その後の研究により, 免疫担当細胞に存在するレセプターに作用して, 免疫機能にも影響を与えることが解明されてきているが2), その臨床的意義については, いまだに不明な点も残されている. 今回, 筆者らは, 慢性関節リウマチ(RA)患者の血中ニューロペプタイドを測定し, 疾患特異的な特徴が存在するかどうか, また, 抗リウマチ剤の1種であるlobenzaritの投与により特異的に変動するニューロペプタイドが存在するかどうかの検討を, 薬剤投与前後での経時的変化を追って行い, 興味ある知見を得たので報告する.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.10.39