両側臼歯部下顎骨体部分切除術と舌縮小術による骨格性下顎前突症を伴う開咬の一治験例
「緒言」骨格性開咬症例に対する矯正治療がしばしば困難である要因の一つに, 舌の容積および位置異常が考えられる. 骨格性下顎前突を伴う開咬症例の場合, 顎矯正手術に際し下顎を後退させ, 反時計まわりに回転させることは, 固有口腔容積を縮小することとなり, 治療後の後戻りを誘発しかねない. Egyediら1)は, 臨床的な所見に基づいて舌切除を行うための指標を挙げてはいるが, 切除後の舌の位置や形態の安定性および運動機能に対する留意も必要であり, 舌縮小術を行うかどうかの判断は難しい. 今回われわれは, 下顎前突を伴う骨格性開咬症例に対し, 舌縮小術および舌骨上筋群切離術とあわせて両側下顎骨体部分...
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| Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 11; no. 2; pp. 81 - 90 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
15.08.2001
日本顎変形症学会 |
| Subjects | |
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| ISSN | 0916-7048 1884-5045 |
| DOI | 10.5927/jjjd1991.11.81 |
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| Summary: | 「緒言」骨格性開咬症例に対する矯正治療がしばしば困難である要因の一つに, 舌の容積および位置異常が考えられる. 骨格性下顎前突を伴う開咬症例の場合, 顎矯正手術に際し下顎を後退させ, 反時計まわりに回転させることは, 固有口腔容積を縮小することとなり, 治療後の後戻りを誘発しかねない. Egyediら1)は, 臨床的な所見に基づいて舌切除を行うための指標を挙げてはいるが, 切除後の舌の位置や形態の安定性および運動機能に対する留意も必要であり, 舌縮小術を行うかどうかの判断は難しい. 今回われわれは, 下顎前突を伴う骨格性開咬症例に対し, 舌縮小術および舌骨上筋群切離術とあわせて両側下顎骨体部分切除術を施行し, 安定した咬合が得られたので報告する. 症例 患者:12歳10ヵ月, 男児. 主訴:前歯がかみ合わない. 家族歴:特記事項はない. 既往歴:患者は7歳時, 手指のこわばりを主訴に某大学病院脳神経外科を受診し, 停止性水頭症, 扁平頭底症と診断された. CTおよびMRI検査の結果, 脳室拡大は存在するものの, 特に神経学的には異常は認められなかった. 現病歴:前歯がかみ合わないことを主訴に訪れた近医にて, 10歳時よりおよそ1年半筋機能訓練を行ったが著効なく, 症状は悪化したため顎変形症と診断され, 12歳時に当科を紹介された. 成長を観察しながら経過観察を行い, 18歳時に術前矯正治療のための検査を行った後, 歯科矯正治療を開始した. |
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| ISSN: | 0916-7048 1884-5045 |
| DOI: | 10.5927/jjjd1991.11.81 |