唇裂口蓋裂乳児の哺乳運動に関する研究 上唇筋電図ならびに口腔内圧力の分析
唇裂口蓋裂患者の哺乳時上唇の筋活動,乳首圧迫圧ならびに吸畷陰圧を測定し,各裂型の特徴と口唇形成術による変化を検討した.対象は片側性唇顎口蓋裂患者6名(UCLP群),片側性唇(顎)裂患者8名(UCL群),軟口蓋裂患者6名(CP群)とし,UCLP群は全例Hotz床を装着した.正常乳児10名(正常群)を対照とした.術前(または生後4か月),術後3か月(または生後7か月)に哺乳時の口輪筋筋電図と乳首圧迫圧および吸畷陰圧を同時測定し,以下の結果を得た. 1.正常群では,哺乳時に最大圧迫圧(4か月時70mmHg,7か月時75mmHg)と最大吸畷陰圧(4か月時-60mmHg,7か月時-62mmHg)が交互に...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 30; no. 1; pp. 12 - 28 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
30.04.2005
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate1976.30.1_12 |
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Summary: | 唇裂口蓋裂患者の哺乳時上唇の筋活動,乳首圧迫圧ならびに吸畷陰圧を測定し,各裂型の特徴と口唇形成術による変化を検討した.対象は片側性唇顎口蓋裂患者6名(UCLP群),片側性唇(顎)裂患者8名(UCL群),軟口蓋裂患者6名(CP群)とし,UCLP群は全例Hotz床を装着した.正常乳児10名(正常群)を対照とした.術前(または生後4か月),術後3か月(または生後7か月)に哺乳時の口輪筋筋電図と乳首圧迫圧および吸畷陰圧を同時測定し,以下の結果を得た. 1.正常群では,哺乳時に最大圧迫圧(4か月時70mmHg,7か月時75mmHg)と最大吸畷陰圧(4か月時-60mmHg,7か月時-62mmHg)が交互にリズミカルに形成され,上唇に左右同等で,圧変化と同調した筋活動を認めた. 2.CP群では筋活動最大値,総筋活動量は4か月,7か月とも正常群に近似した.圧迫陽圧は正常群より低値であったが有意差はなかった.吸畷陰圧は認めなかった. 3.UCL群では術前は患側健側の筋活動最大値,総筋活動量ともに正常群に比べ有意に低く,患側は健側より有意に低かったが,術後は上昇し,正常群との有意差はなかった.圧迫陽圧は術後有意に上昇したが,正常群,CP群に比し術前術後ともに有意に低値であった.吸畷陰圧は術前は正常群に比べ有意に低かったが,術後は上昇し有意差を認めなかった. 4.Hotz床を装着したUCLP群では術前の筋活動最大値,総筋活動量は患側健側とも正常群に比べ有意に低く,患側は健側より有意に低かった.術後は上昇したが正常群に比べ有意に低かった.圧迫陽圧は術後有意に上昇したが,正常群に比べ有意に低かった.吸畷陰圧は術前術後とも認めなかった. 5.哺乳サイクルの持続時間とリズムには4群間に有意差はなかった. |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.30.1_12 |