尿路結石の発生原因に関する検討 (第3報) 尿石症患者における栄養学的検討と尿中排泄物質の関連性について
61名 (男子51名, 女子10名) の尿路結石症患者を対象に, 連続2週間の食事調査を行つた. その結果を国民栄養調査成績や日本人の栄養所要量と比較してみると, 摂取エネルギー, 総蛋白質, 脂肪, 炭水化物, リン, ナトリウムの摂取量には差を認めなかつたが, 予想に反してカルシウム (Ca) 摂取量は少なく, とくに過去にCa制限の指導を受けた症例でその傾向が著明であつた. またマグネシウム摂取量は非常に少なく, その主な原因は野菜の摂取不足であることが判明した. しかし症例によつてはCaや総蛋白質摂取量の非常に多い症例も多数認められた. 尿中排泄物質と同日の栄養摂取量を比較してみたとこ...
Saved in:
Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 267 - 273 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
1982
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
DOI | 10.5980/jpnjurol1928.73.3_267 |
Cover
Summary: | 61名 (男子51名, 女子10名) の尿路結石症患者を対象に, 連続2週間の食事調査を行つた. その結果を国民栄養調査成績や日本人の栄養所要量と比較してみると, 摂取エネルギー, 総蛋白質, 脂肪, 炭水化物, リン, ナトリウムの摂取量には差を認めなかつたが, 予想に反してカルシウム (Ca) 摂取量は少なく, とくに過去にCa制限の指導を受けた症例でその傾向が著明であつた. またマグネシウム摂取量は非常に少なく, その主な原因は野菜の摂取不足であることが判明した. しかし症例によつてはCaや総蛋白質摂取量の非常に多い症例も多数認められた. 尿中排泄物質と同日の栄養摂取量を比較してみたところ, 尿中Ca排泄量と相関のあつた栄養素は何一つ認められなかつたが, 男子患者を高Ca尿症群 (250mg/日以上) と正常Ca尿症群に分けて栄養摂取量を比較してみると, 総蛋白質摂取量は高Ca尿症群で有意に増加しており, 総蛋白質摂取量が尿中Ca排泄量に及ぼす影響は多大であると考えられた. 以上の結果より, まず個々の症例の食事調査を行い, その結果をもとに症例に応じた適切な食事指導を行うことが, 尿路結石症の再発予防法の第一歩であると思われた. |
---|---|
ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.73.3_267 |