食道潰瘍を有するベーチェット病に強皮症, 慢性C型肝炎, 汎血球減少症を合併した一症例

症例は62歳男性. 主訴は発熱と胸灼け. 1995年に慢性C型肝炎と診断. 1997年より反復性口内炎, 陰部潰瘍が出現. 1999年に皮膚硬化, 両手指腫脹が出現. 皮膚生検を行い強皮症と診断され, 中等量ステロイド治療 (初期量PSL 30 mg/day, 維持量 10 mg/day) を開始された. 2000年3月に当科受診, 結節性紅斑・口腔内アフタ・陰部潰瘍よりベーチェット病不全型と診断. この頃より軽度の汎血球減少が出現した. 同年11月に発熱, 食道・胃潰瘍が出現. 腸管ベーチェット病と考えられ, PSLの増量となった (PSL 30 mg/dayを3日間投与, 以後漸減され,...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 27; no. 3; pp. 164 - 170
Main Authors 秋山, 雄次, 三村, 俊英, 平野, 資晴, 秋葉, 春彦, 横田, 和浩, 竹石, 美智雄, 阿達, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2004
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.27.164

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Summary:症例は62歳男性. 主訴は発熱と胸灼け. 1995年に慢性C型肝炎と診断. 1997年より反復性口内炎, 陰部潰瘍が出現. 1999年に皮膚硬化, 両手指腫脹が出現. 皮膚生検を行い強皮症と診断され, 中等量ステロイド治療 (初期量PSL 30 mg/day, 維持量 10 mg/day) を開始された. 2000年3月に当科受診, 結節性紅斑・口腔内アフタ・陰部潰瘍よりベーチェット病不全型と診断. この頃より軽度の汎血球減少が出現した. 同年11月に発熱, 食道・胃潰瘍が出現. 腸管ベーチェット病と考えられ, PSLの増量となった (PSL 30 mg/dayを3日間投与, 以後漸減され, 維持量 7.5 mg/day). 2002年5月に発熱と胸灼けが出現, 当科に入院. 食道に4ヶ所の潰瘍病変と1ヶ所の盲端瘻孔が認められ, 腸管ベーチェット病の再燃と考えられた. ステロイド剤を増量したが (PSL 30 mg/day), 症状の改善はみられず, 重症肺炎を合併し, 死亡した. 本症例ではベーチェット病に強皮症, 食道潰瘍, 慢性C型肝炎, 汎血球減少を合併した. 極めて稀な病態を合併しているが, 病因などを検討する上で示唆に富む症例と考え報告した.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.27.164