長野県の同一ブロイラー農場で発生したEnterococcus cecorum による脊椎炎
2023年10月,長野県内の農場でブロイラーが脚麻痺を呈し死廃数が増加した.剖検で第6胸椎を中心に椎体が腫大し,断面に膿瘍形成に伴う脊髄の圧迫を認めた.病変部からEnterococcus cecorum が分離され,病理組織学的検査で化膿性脊椎炎と診断した.2024年2月以降に初発時と異なるロットの複数鶏舎でも脚麻痺を認め,すべての症例で椎体からE. cecorum が分離された.分離が最も早い症例は7日齢で,同居鶏を10日齢から投薬したが29日齢で一部が発症した.各症例の分離株は,パルスフィールドゲル電気泳動で同一または類似のパターンを示し,単一クローンの拡散が示唆された.また,分離株すべて...
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Published in | 日本獣医師会雑誌 Vol. 78; no. 1; pp. e1 - e7 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本獣医師会
2025
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0446-6454 2186-0211 |
DOI | 10.12935/jvma.78.e1 |
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Summary: | 2023年10月,長野県内の農場でブロイラーが脚麻痺を呈し死廃数が増加した.剖検で第6胸椎を中心に椎体が腫大し,断面に膿瘍形成に伴う脊髄の圧迫を認めた.病変部からEnterococcus cecorum が分離され,病理組織学的検査で化膿性脊椎炎と診断した.2024年2月以降に初発時と異なるロットの複数鶏舎でも脚麻痺を認め,すべての症例で椎体からE. cecorum が分離された.分離が最も早い症例は7日齢で,同居鶏を10日齢から投薬したが29日齢で一部が発症した.各症例の分離株は,パルスフィールドゲル電気泳動で同一または類似のパターンを示し,単一クローンの拡散が示唆された.また,分離株すべてが病鶏由来株に特徴的と報告された5遺伝子を保有していた.本研究は長野県で初めて確認したE. cecorum 感染症の報告である. |
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ISSN: | 0446-6454 2186-0211 |
DOI: | 10.12935/jvma.78.e1 |