開口分泌 (Exocytosis): 内・外分泌腺細胞, 神経分泌細胞, 神経細胞およびパラニューロンに共通な分泌機構
最近 各種の内, 外分泌腺細胞, 神経分泌細胞, パラニューロンに属する細胞, および一部の神経細胞終末で, 限界膜にかこまれた分泌果粒が 開口分泌 (exocytosis) をおこなっていることが知られてきた. この論文で著者は, 下垂体後葉の神経分泌細胞, および副腎髄質のカテコールアミン分泌細胞にみられる開口分泌について述べ, DOUGLASおよび著者が, これらの所見にもとづいて提唱した“exocytosis-vesiculation sequence”の仮説を説明した. この説では 開口分泌により細胞膜に組込まれた分泌果粒膜が, 有殼小胞 (coated microvesicle)...
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| Published in | Archivum histologicum japonicum Vol. 40; no. Supplement; pp. 31 - 47 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | English Japanese |
| Published |
国際組織細胞学会
1977
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| ISSN | 0004-0681 |
| DOI | 10.1679/aohc1950.40.Supplement_31 |
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| Summary: | 最近 各種の内, 外分泌腺細胞, 神経分泌細胞, パラニューロンに属する細胞, および一部の神経細胞終末で, 限界膜にかこまれた分泌果粒が 開口分泌 (exocytosis) をおこなっていることが知られてきた. この論文で著者は, 下垂体後葉の神経分泌細胞, および副腎髄質のカテコールアミン分泌細胞にみられる開口分泌について述べ, DOUGLASおよび著者が, これらの所見にもとづいて提唱した“exocytosis-vesiculation sequence”の仮説を説明した. この説では 開口分泌により細胞膜に組込まれた分泌果粒膜が, 有殼小胞 (coated microvesicle) として再び細胞内に回収されると考えられる. この機構により, 開口分泌で多数の分泌果粒膜が細胞膜に組込まれても, 分泌部の細胞表面膜の面積の増加を防止することができ, また表面膜の物理化学的性質の変化を防ぐと考えられる. これを裏付けるためにおこなわれた実験で, ペルオキシダーゼ (HRP) およびトロトラスト (ThO2) の有殼小胞と滑面小胞への取込みが, 下垂体後葉および副腎髄質で観察された. 副腎髄質のカテコールアミン分泌細胞で, Ca++存在下でのKClによる脱分極刺激は, 電顕下での開口分泌像の増加をおこす. これは従来, 形態学上からは, 例外的な分泌の形である考えられてきた開口分泌が, 適当な条件下では 電顕的にも かなりの頻度で観察できることを示し, 他の組織においても, 分泌剌激の方法を工夫することにより, 今後 開口分泌形式の分泌像を観察できる可能性が高いことを示すと考えられる. |
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| ISSN: | 0004-0681 |
| DOI: | 10.1679/aohc1950.40.Supplement_31 |