口唇裂・口蓋裂の孫をもつ祖母の心理状態 娘・家族に関連する心理的側面

本研究の目的は,孫の口唇裂・口蓋裂疾患についての告知から初回口唇形成術後までの祖母の心理状態のうち,娘・家族に対する心理的側面について明らかにすることである。 A病院に通院する口唇形成術後の孫をもつ父方・母方祖母に,孫の疾患告知後から口唇形成術後の心理状態について半構造化面接を行った。対象者15人の逐語録について質的記述的分析を行った結果,4つのコアカテゴリーに分類した内の【娘・家族に関連する心理側面】について報告する。カテゴリーは〔娘の苦悩や家族への影響に対する懸念〕,〔娘の支援への決心〕,〔普通に対応する娘や家族への安堵感〕,〔家族の力による安心感〕の4つで構成された。 祖母は,娘が子ども...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 45; no. 3; pp. 213 - 219
Main Authors 古郷, 幹彦, 池, 美保, 藤田, 優一, 北尾, 美香, 熊谷, 由加里, 植木, 慎悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 2020
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate.45.213

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Summary:本研究の目的は,孫の口唇裂・口蓋裂疾患についての告知から初回口唇形成術後までの祖母の心理状態のうち,娘・家族に対する心理的側面について明らかにすることである。 A病院に通院する口唇形成術後の孫をもつ父方・母方祖母に,孫の疾患告知後から口唇形成術後の心理状態について半構造化面接を行った。対象者15人の逐語録について質的記述的分析を行った結果,4つのコアカテゴリーに分類した内の【娘・家族に関連する心理側面】について報告する。カテゴリーは〔娘の苦悩や家族への影響に対する懸念〕,〔娘の支援への決心〕,〔普通に対応する娘や家族への安堵感〕,〔家族の力による安心感〕の4つで構成された。 祖母は,娘が子どもの疾患に対する心理的動揺が強い場合,孫を心配する以上に,娘の心身の状態を心配しながらも,娘への支援を優先しようと思う心理状態が明らかになった。また,祖母は娘を支えると決め,娘と互いに影響を受けながら,自己の苦悩や不安が軽減され,孫の疾患を受容できると考える。さらに,祖母は調整・配慮といった役割を果たし,家族の力を感じながら安心感を得ていることが示唆された。
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate.45.213