顎関節X線画像における下顎頭移動量の計測精度 下顎頭運動表現モデルを用いた検討

目的:開口時の下顎頭運動を表現するモデルを構築し,これを用いて顎関節X線画像における下顎頭移動量の計測精度を検討した。方法:下顎頭運動の観察に適したX線投影条件を,下顎頭運動を再現するロボットシステムにより調べた。下顎頭移動の直線距離を,顎関節パノラマ四分割撮影法および側斜位経頭蓋撮影法(シューラー法)の画像上で測定した。被写体は乾燥下顎骨5体(10顎関節)である。X線画像で計測した下顎頭移動量を,実測値と比較した。実測値とX線画像の拡大率を基に,X線画像上の距離計測の誤差を算出した。結果および結論:ロボットシステムとシューラー法撮影により,閉口位から最大開口40 mmまでの動作を13フレーム...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 35; no. 2; pp. 93 - 98
Main Authors 西山, 航, 勝又, 明敏, 柴田, 紀幸, 野尻, みのり, 小日向, 清美, 飯田, 幸弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.08.2023
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.35.93

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Summary:目的:開口時の下顎頭運動を表現するモデルを構築し,これを用いて顎関節X線画像における下顎頭移動量の計測精度を検討した。方法:下顎頭運動の観察に適したX線投影条件を,下顎頭運動を再現するロボットシステムにより調べた。下顎頭移動の直線距離を,顎関節パノラマ四分割撮影法および側斜位経頭蓋撮影法(シューラー法)の画像上で測定した。被写体は乾燥下顎骨5体(10顎関節)である。X線画像で計測した下顎頭移動量を,実測値と比較した。実測値とX線画像の拡大率を基に,X線画像上の距離計測の誤差を算出した。結果および結論:ロボットシステムとシューラー法撮影により,閉口位から最大開口40 mmまでの動作を13フレームに分割したX線画像を撮影することができた。10個の顎関節の下顎頭移動量の中央値は,実測で19.53 mm,シューラー法画像で14.38 mm,顎関節パノラマ四分割画像で18.81 mmであった。実測値に対する画像計測の誤差は,顎関節パノラマ四分割撮影で3.34 mm,シューラー法で5.32 mmであった。結果より,下顎頭移動量の計測に関して,顎関節パノラマ四分割撮影がシューラー法よりも優れることがわかった。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.35.93