自然災害が企業の会計行動に与える影響 関東大震災と機械産業を中心にして

本論文は,戦前日本で発生した関東大震災が企業の会計行動に与えた影響を明らかにすることを目的とする。戦前日本において生じた関東大震災と会計との関係を取り扱った研究は,個別企業に限定されており,その全体的な実態については明確にされてこなかった。そこで,本論文では,ジャパン・デジタル・アーカイブス・センターに所蔵されている1921年から1928年の間に発行された企業(機械産業)の営業報告書272期分をもとに,企業が営業報告書上で減価償却に関わる項目を開示していたか否かおよび償却率について,震災前後で変化が生じていたかどうかを検証した。結果,減価償却に関わる項目の開示については,震災後,その開示水準が...

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Published in会計プログレス Vol. 2023; no. 24; pp. 109 - 124
Main Author 角, 裕太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本会計研究学会 2023
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ISSN2189-6321
2435-9947
DOI10.34605/jaa.2023.24_109

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Summary:本論文は,戦前日本で発生した関東大震災が企業の会計行動に与えた影響を明らかにすることを目的とする。戦前日本において生じた関東大震災と会計との関係を取り扱った研究は,個別企業に限定されており,その全体的な実態については明確にされてこなかった。そこで,本論文では,ジャパン・デジタル・アーカイブス・センターに所蔵されている1921年から1928年の間に発行された企業(機械産業)の営業報告書272期分をもとに,企業が営業報告書上で減価償却に関わる項目を開示していたか否かおよび償却率について,震災前後で変化が生じていたかどうかを検証した。結果,減価償却に関わる項目の開示については,震災後,その開示水準が低下していたことがわかった。これは,震災という外生的なショックが複数企業における減価償却という会計行動に一定の影響を与えていたことを示唆している。
ISSN:2189-6321
2435-9947
DOI:10.34605/jaa.2023.24_109