房室結節リエントリー性頻拍に対する高周波カテーテル焼灼術 その有効性と安全性について

房室結節リエントリー性頻拍 (AVNRT) に対する高周波カテーテル焼灼術の安全性, 有効性について検討した. (対象)連続31症例のAVNRT (男性12例, 平均54±14歳) .このうち遅伝導路を順行し, 速伝導路を逆行するslow fast型が24例であった. (方法) 右鼡径部から高位右房, His束電位記録部位, 右室心尖部にそれぞれ7F, 4極電極カテーテルを留置した.左鎖骨下静脈から冠状静脈洞 (CS) 内に12極電極カテーテルを留置した.焼灼カテーテルは7F, 先端電極長4mm, 4極電極カテーテルを用い, HBE-CS入口部 (CSos) 間の三尖弁輪上に留置した.焼灼部位...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 56; no. 5; pp. 497 - 502
Main Authors 丹野, 郁, 蔵野, 康造, 馬場, 隆男, 菊嶋, 修示, 中川, 陽之, 片桐, 敬, 千代田, 和美, 小林, 洋一, 宮田, 彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.10.1996
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.56.497

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Summary:房室結節リエントリー性頻拍 (AVNRT) に対する高周波カテーテル焼灼術の安全性, 有効性について検討した. (対象)連続31症例のAVNRT (男性12例, 平均54±14歳) .このうち遅伝導路を順行し, 速伝導路を逆行するslow fast型が24例であった. (方法) 右鼡径部から高位右房, His束電位記録部位, 右室心尖部にそれぞれ7F, 4極電極カテーテルを留置した.左鎖骨下静脈から冠状静脈洞 (CS) 内に12極電極カテーテルを留置した.焼灼カテーテルは7F, 先端電極長4mm, 4極電極カテーテルを用い, HBE-CS入口部 (CSos) 間の三尖弁輪上に留置した.焼灼部位はいわゆる遅伝導路電位 (SP電位) 記録部位もしくは遅伝導路を逆行する最早期心房興奮部位とした.以上の方法で焼灼が十分なされない場合, CSosからHBEにむかい段階的焼灼術をおこなった. (結果) 31例全例でAVNRTは誘発不能となった.しかし, 1例に一週性III度房室ブロックを, 1例にI度房室ブロックを, 1例に再発が見られた.房室ブロック例を除く29症例は, 焼灼術前後で心房-His束間隔, 順行性の房室結節有効不応期に有意差は認められなかった. (総括) AVNRTに対するRF-Abは, 再発率も少なく有効な治療方法である.焼灼も比較的安全に施行しうるが, 一部の症例ではリエントリー回路の解剖学的位置に多様性が認められた.こうした症例に対しては房室ブロックの合併の危険があり, リエントリー回路の同定が焼灼にあたり重要と思われた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.56.497