敗血症性DIC の抗血栓療法とその限界

播種性血管内凝固症候群(DIC)を伴った敗血症は現在でも死亡率の高い疾患であるが、決定的な治療は確立されていない。この原因の一つは、抗血栓療法が細菌に対する宿主の防御反応を減弱させるためであるが、現在は生理的な血栓形成と病的血栓形成を明確に区別して治療薬を選択したり治療開始時期を決定したりことは困難である。  一方、早期目標指向型治療が敗血症患者の生存率に寄与しないことも示された。循環管理はDIC治療の一環でもあるが、現在臨床で用いられる指標では敗血症患者の管理には限界がある。  敗血症性DIC 患者の予後改善には、抗血栓療法と循環管理どちらにもブレイクスルーが必要である。...

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Published in循環制御 Vol. 41; no. 2; pp. 111 - 119
Main Author 松成, 泰典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 10.09.2020
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ISSN0389-1844

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Summary:播種性血管内凝固症候群(DIC)を伴った敗血症は現在でも死亡率の高い疾患であるが、決定的な治療は確立されていない。この原因の一つは、抗血栓療法が細菌に対する宿主の防御反応を減弱させるためであるが、現在は生理的な血栓形成と病的血栓形成を明確に区別して治療薬を選択したり治療開始時期を決定したりことは困難である。  一方、早期目標指向型治療が敗血症患者の生存率に寄与しないことも示された。循環管理はDIC治療の一環でもあるが、現在臨床で用いられる指標では敗血症患者の管理には限界がある。  敗血症性DIC 患者の予後改善には、抗血栓療法と循環管理どちらにもブレイクスルーが必要である。
ISSN:0389-1844