微細試料のX線マイクロCT画像解析 ImageJ Fijiを用いた単繊維の開口率および体積の抽出

我々はこれまでに,微細試料の非破壊観察に有効なX線マイクロCTを用いて,中空単繊維における数μmスケールの微細構造を観察し,開口率および体積の測定を行うとともに,局所密度の測定に取り組んできた.本研究では,抽出された開口率および体積の精度について検討するため,スライス数Nと面積の相対標準偏差(CV)との関係を調べた.Nが20枚を超えるとCVの変化は緩やかになるため,計測面積は50枚分の平均値を求めれば統計的に十分と思われる.CT画像を2値化する際の閾値の設定が開口率のCVに影響するが,CVは2%以内に収まった.中空単繊維のマイクロCT測定を行えば,開口率を高精度で得られることから,開口率は中空...

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Published inX線分析の進歩 Vol. 54; pp. 119 - 127
Main Authors 多田野, 渉, 早川, 慎二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会 31.03.2023
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ISSN0911-7806
2758-3651
DOI10.57415/xshinpo.54.0_119

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Summary:我々はこれまでに,微細試料の非破壊観察に有効なX線マイクロCTを用いて,中空単繊維における数μmスケールの微細構造を観察し,開口率および体積の測定を行うとともに,局所密度の測定に取り組んできた.本研究では,抽出された開口率および体積の精度について検討するため,スライス数Nと面積の相対標準偏差(CV)との関係を調べた.Nが20枚を超えるとCVの変化は緩やかになるため,計測面積は50枚分の平均値を求めれば統計的に十分と思われる.CT画像を2値化する際の閾値の設定が開口率のCVに影響するが,CVは2%以内に収まった.中空単繊維のマイクロCT測定を行えば,開口率を高精度で得られることから,開口率は中空単繊維の識別における新たな指標の1つとして有力と考えられる.X線マイクロCTは,中空構造の有無にかかわらず形状の観察や密度測定が同時に行えることから,繊維を含む微細試料の分析手法として有用であると言える.また,CT画像からの開口率および体積抽出を題材に,オープンソースソフトウェアImageJ Fijiによる画像解析方法についても詳細に報告する.
ISSN:0911-7806
2758-3651
DOI:10.57415/xshinpo.54.0_119