「直筆原稿」のメディア論 作家/プロレタリア的身体の痕跡を炙り出す

本稿は1925年創刊の雑誌『文藝市場』による街頭での直筆原稿叩き売りに着目し,この実践が有名性に支配された文学界への批判であり,その背景には「直筆原稿」を作家の肉体労働の痕跡とみ,商品価値を認めるべきだとする同人の主張があったことを明らかにした.また,売上金を共同印刷争議に寄付し,構成派的な「活字」表現を駆使するなど,この試みが労働運動とプロレタリア芸術運動との交点にあったことも指摘した....

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Published in出版研究 Vol. 52; pp. 47 - 70
Main Author 大尾, 侑子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本出版学会 2021
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ISSN0385-3659
2434-1398
DOI10.24756/jshuppan.52.0_47

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Summary:本稿は1925年創刊の雑誌『文藝市場』による街頭での直筆原稿叩き売りに着目し,この実践が有名性に支配された文学界への批判であり,その背景には「直筆原稿」を作家の肉体労働の痕跡とみ,商品価値を認めるべきだとする同人の主張があったことを明らかにした.また,売上金を共同印刷争議に寄付し,構成派的な「活字」表現を駆使するなど,この試みが労働運動とプロレタリア芸術運動との交点にあったことも指摘した.
ISSN:0385-3659
2434-1398
DOI:10.24756/jshuppan.52.0_47