需要の上振れリスクが企業のコスト構造に与える影響 企業ライフサイクルによる不確実性の分類

従来の定説と異なり,需要の不確実性が高まるほど,企業のコスト構造が固定費割合の高い硬直的なものになる傾向が先行研究で示されている。しかし,これらの研究では異なる不確実性に直面する企業を区別することなく分析しており,少数グループの存在が全体の推定結果に影響を与えた可能性を否定できない。本研究では,企業ライフサイクルによる分類をもちいて,不確実性の特徴とコスト構造の関係を検証した。結果,需要の上振れリスクが高い導入期および衰退期では,需要の不確実性が高まるほど,より硬直的なコスト構造が見られることが明らかとなった。この結果は,先行研究の分析結果が,異なる種類の不確実性をもつ少数派から影響を受けた可...

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Published in会計プログレス Vol. 2023; no. 24; pp. 91 - 108
Main Authors 原口, 健太郎, 小笠原, 亨, 新改, 敬英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本会計研究学会 2023
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ISSN2189-6321
2435-9947
DOI10.34605/jaa.2023.24_91

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Summary:従来の定説と異なり,需要の不確実性が高まるほど,企業のコスト構造が固定費割合の高い硬直的なものになる傾向が先行研究で示されている。しかし,これらの研究では異なる不確実性に直面する企業を区別することなく分析しており,少数グループの存在が全体の推定結果に影響を与えた可能性を否定できない。本研究では,企業ライフサイクルによる分類をもちいて,不確実性の特徴とコスト構造の関係を検証した。結果,需要の上振れリスクが高い導入期および衰退期では,需要の不確実性が高まるほど,より硬直的なコスト構造が見られることが明らかとなった。この結果は,先行研究の分析結果が,異なる種類の不確実性をもつ少数派から影響を受けた可能性を示唆する。
ISSN:2189-6321
2435-9947
DOI:10.34605/jaa.2023.24_91