術前肺機能検査 測定値の評価の妥当性についての検討

術前肺機能検査を施行した20から94歳の2594例を対象とし, 既存の肺機能予測式を基準にして術前肺機能検査の測定値の評価を行うことの妥当性を検討した. 1.対象を性別および喫煙の有無により4群に分類し, 各パラメータ (VC/Ht, FVC/Ht, FEV1.0/Ht, FEV1.0%, PEFR/Ht, V25/Ht, CV/VC, CC/TLC, FRC/Ht, RV/TLC, PaCO2, PaO2) と年齢との関係を回帰分析し, それぞれの群の回帰式と日本呼吸器学会の予測式あるいは冨田の予測式とを比較した.2.非喫煙および喫煙群における各パラメータの実測値の評価が基準値の評価を下回る...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 59; no. 1; pp. 48 - 65
Main Authors 岡安, 理司, 桑迫, 勇登
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.02.1999
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.59.48

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Summary:術前肺機能検査を施行した20から94歳の2594例を対象とし, 既存の肺機能予測式を基準にして術前肺機能検査の測定値の評価を行うことの妥当性を検討した. 1.対象を性別および喫煙の有無により4群に分類し, 各パラメータ (VC/Ht, FVC/Ht, FEV1.0/Ht, FEV1.0%, PEFR/Ht, V25/Ht, CV/VC, CC/TLC, FRC/Ht, RV/TLC, PaCO2, PaO2) と年齢との関係を回帰分析し, それぞれの群の回帰式と日本呼吸器学会の予測式あるいは冨田の予測式とを比較した.2.非喫煙および喫煙群における各パラメータの実測値の評価が基準値の評価を下回る比率を各年代ごとに算出した.3.喫煙および肺疾患既往歴の有無により4群に分類し, 閉塞性, 拘束性さらに混合性換気障害の比率を各年代ごとに比較した. 多くのパラメータにおいて性別および喫煙の有無に関わらず加齢に伴って低下したが, 肺機能検査に対する喫煙の影響は明確でなかった.回帰式と予測式とを比較すると, ほとんどのパラメータにおいてほぼ全年齢層で回帰式が予測式を下回った.さらに, VC/Ht, FVC/Ht, FRC/Ht, FEVm/Ht, FEV1.0%/Ht, PEFR/Ht, V25/Ht, PaO2などにおいて基準値より劣っている症例の比率が高く, その比率は加齢に伴って増大した.喫煙歴ならびに肺疾患既往歴の有無による換気障害の発生率は, 80歳以上において約60%であり, 拘束性より閉塞性換気障害の方が加齢に伴う増加の程度が大きかった. 今回の検討より, 術前肺機能検査の評価に既存の予測式を用いることは妥当ではなく, 手術を受ける患者を対象とした予測式の作成が必要と考えられた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.59.48