5-year-olds’Indexを用いた片側性唇顎口蓋裂の評価と歯顎顔面形態との関連性 縦断的研究

近年,5-year-olds’Indexを用いた日本人片側性唇顎口蓋裂の術後評価が行われるようになってきたが,その後の経過に関する詳細な報告は少ない。本研究の目的は,5-year-olds’Indexを用いた評価と歯顎顔面形態との関連性を縦断的に明らかにすることである。 対象は東北大学病院・唇顎口蓋裂センターにて,永久歯列期まで治療・管理を行ってきた片側性唇顎口蓋裂48例(男子31例,女子17例)とした。5-year-olds’Indexによる内訳は,スコア1が3例,スコア2が7例,スコア3が22例,スコア4が13例,スコア5が3例であった。平均値は3.13であった。これらをスコア1,2(以下...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 42; no. 1; pp. 7 - 18
Main Authors 五十嵐, 薫, 布村, 陽平, 今井, 啓道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 25.04.2017
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate.42.7

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Summary:近年,5-year-olds’Indexを用いた日本人片側性唇顎口蓋裂の術後評価が行われるようになってきたが,その後の経過に関する詳細な報告は少ない。本研究の目的は,5-year-olds’Indexを用いた評価と歯顎顔面形態との関連性を縦断的に明らかにすることである。 対象は東北大学病院・唇顎口蓋裂センターにて,永久歯列期まで治療・管理を行ってきた片側性唇顎口蓋裂48例(男子31例,女子17例)とした。5-year-olds’Indexによる内訳は,スコア1が3例,スコア2が7例,スコア3が22例,スコア4が13例,スコア5が3例であった。平均値は3.13であった。これらをスコア1,2(以下A)群とスコア3(以下B)群,スコア4,5(以下C)群の3群にわけた。乳歯列期(4.9±0.5歳)と永久歯列期(13.6±1.1歳)に採得した歯列模型とセファログラムを用い,模型分析では咬合状態と歯列弓の幅径を,セファロ分析では上下顎の前後的位置関係と切歯軸を評価し,これらの結果を標準値と比較するとともに,3群のデータとスコアとの相関を検討した。 その結果,永久歯列期の咬合状態は,前歯部,側方歯部ともにスコアが大きいほど悪かった。乳歯列期と永久歯列期の上顎歯列弓幅径は概ね標準値よりも小さく,永久歯列期ではスコアが大きくなるほど小さい値を示した。SNA,SNB,上下顎の切歯軸は標準値よりも小さめであったが,乳歯列期のSNAを除いていずれの時期,計測項目においても相関はなかった。乳歯列期のSNAと乳歯列期および永久歯列期の顎間関係(ANBとA-B 平面角)はスコアが大きくなるほど悪化した。乳歯列期から永久歯列期に至る歯顎顔面形態の変化とスコアとの関連性は認められなかった。治療による介入はスコアが大きくなるほど増加する傾向にあった。 5-year-olds’Indexの評価は乳歯列期の上顎骨の位置と上下顎骨の前後的位置関係を反映しており,後者は治療介入を受けた永久歯列期においても持続していること,咬合関係も同様の傾向があることがわかった。本指標は一次手術の術後評価だけでなく,これらの患者の予後をある程度推定することも可能であると考えられた。
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate.42.7