校内教育支援センターをめぐる情動とみなしの交錯 「未分類」児に対する周囲児によるカテゴリー化の動態性

本稿では相対的剥奪の概念を分析枠組みとし、通常学級に在籍する周囲児が、校内教育支援センターで過ごす対象児をどのようにみているのかを明らかにした。周囲児は、「支援提供児―要支援児」という非対称的な関係のもとで対象児を捉え、理不尽な行為を受けても説明責任を免じていた。だが、対象児を「仲間」とみなすようになることで両者間の比較が可能となり、周囲児の立場によっては、特例措置を受ける対象児へと抱いた妬みに対処する手立てとして、通常授業に参加する自己の優位性を確認し、相対的剥奪感を和らげていた。...

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Published in教育学研究 Vol. 92; no. 2; pp. 252 - 264
Main Author 中野 綾香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育学会 2025
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ISSN0387-3161
2187-5278
DOI10.11555/kyoiku.92.2_252

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Summary:本稿では相対的剥奪の概念を分析枠組みとし、通常学級に在籍する周囲児が、校内教育支援センターで過ごす対象児をどのようにみているのかを明らかにした。周囲児は、「支援提供児―要支援児」という非対称的な関係のもとで対象児を捉え、理不尽な行為を受けても説明責任を免じていた。だが、対象児を「仲間」とみなすようになることで両者間の比較が可能となり、周囲児の立場によっては、特例措置を受ける対象児へと抱いた妬みに対処する手立てとして、通常授業に参加する自己の優位性を確認し、相対的剥奪感を和らげていた。
ISSN:0387-3161
2187-5278
DOI:10.11555/kyoiku.92.2_252