なぜ女子中学生は自分を「理系」と評価しにくいのか 文理意識の性別間分化メカニズム

本研究では、中学生の抱く文理意識を、学業的自己概念の一つとして位置づけて、学業仮説、選好仮説、ステレオタイプ仮説の3つの見方から、ジェンダー差が生じる理由を検討した。質問紙調査の計量分析によって仮説を検証した結果、学業仮説は十分な説得力を持たず、選好仮説は部分的に支持され、ステレオタイプ仮説は支持された。本研究の結果は、「男子の方が理系に向いている」のような文化的信念を無効化し、女子中学生が理系科目に対して好意的な態度を示しやすくなれば、「理系」の女子が増加する可能性を示唆している。...

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Published in教育学研究 Vol. 90; no. 2; pp. 285 - 297
Main Author 田邉, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育学会 2023
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ISSN0387-3161
2187-5278
DOI10.11555/kyoiku.90.2_285

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Summary:本研究では、中学生の抱く文理意識を、学業的自己概念の一つとして位置づけて、学業仮説、選好仮説、ステレオタイプ仮説の3つの見方から、ジェンダー差が生じる理由を検討した。質問紙調査の計量分析によって仮説を検証した結果、学業仮説は十分な説得力を持たず、選好仮説は部分的に支持され、ステレオタイプ仮説は支持された。本研究の結果は、「男子の方が理系に向いている」のような文化的信念を無効化し、女子中学生が理系科目に対して好意的な態度を示しやすくなれば、「理系」の女子が増加する可能性を示唆している。
ISSN:0387-3161
2187-5278
DOI:10.11555/kyoiku.90.2_285