1・2歳児の反抗・自己主張における養育者の対応と意識 多声的エスノグラフィーの手法を参照した語りの分析

本研究は,保育所を利用せず家庭で子育てをしている養育者(以下,家庭養育者)と保育所保育を利用している養育者(以下,保育所養育者)を対象に,1・2歳児の反抗・自己主張に対する対応と意識を明らかにすることを目的とし,多声的エスノグラフィーの手法を参照した映像視聴による集団討議の語りを分析した。 その結果,①対応に関して,家庭養育者は「待つ」,保育所養育者は「交渉する」の語りの数が多い。②対応に影響を及ぼす要因に関して,家庭養育者は「時間」,保育所養育者は「時間」「精神的余裕」の語りの数が多い。③意識に関して,家庭養育者は「自己省察」,保育所養育者は「教育方針」の語りの数が多い。④映像視聴における否...

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Published in保育学研究 Vol. 58; no. 1; pp. 43 - 55
Main Authors 山田, 千愛, 砂上, 史子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本保育学会 2020
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ISSN1340-9808
2424-1679
DOI10.20617/reccej.58.1_43

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Summary:本研究は,保育所を利用せず家庭で子育てをしている養育者(以下,家庭養育者)と保育所保育を利用している養育者(以下,保育所養育者)を対象に,1・2歳児の反抗・自己主張に対する対応と意識を明らかにすることを目的とし,多声的エスノグラフィーの手法を参照した映像視聴による集団討議の語りを分析した。 その結果,①対応に関して,家庭養育者は「待つ」,保育所養育者は「交渉する」の語りの数が多い。②対応に影響を及ぼす要因に関して,家庭養育者は「時間」,保育所養育者は「時間」「精神的余裕」の語りの数が多い。③意識に関して,家庭養育者は「自己省察」,保育所養育者は「教育方針」の語りの数が多い。④映像視聴における否定的感情は両者に,肯定的感情は家庭養育者のみに見られることが明らかとなった。これらの両養育者の語りの違いには,子どもと接する時間の長さや生活環境の違いが関連していると考えられる。
ISSN:1340-9808
2424-1679
DOI:10.20617/reccej.58.1_43