人間関係学の理論を用いたロールプレイングを含む家族学習の教育効果 ロールプレイング未経験の家庭科教員による授業実践
本研究は, ロールプレイング未経験の中学校家庭科教員を授業者として, 松村康平の創始した人間関係学を援用したロールプレイングを含む家族学習 (全4時間) の効果を多層ベースラインデザインで検証することを目的とする. 具体的には, 前半にロールプレイング (2時間) を行ってから後半に一斉授業 (2時間) を行うクラスと前後半の実施順序を逆にしたクラスの2群に分けて教育効果を検証した. 教育効果の指標として, 家族に対する興味, 受容, 理解, 行為を尋ねる質問紙を, ベースライン期 (BL期), 前半終了時 (実践後1), 後半終了時 (実践後2), 家族学習終了1か月後のフォローアップ期 (...
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Published in | 日本家政学会誌 Vol. 76; no. 7; pp. 312 - 321 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本家政学会
2025
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0913-5227 1882-0352 |
DOI | 10.11428/jhej.76.312 |
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Summary: | 本研究は, ロールプレイング未経験の中学校家庭科教員を授業者として, 松村康平の創始した人間関係学を援用したロールプレイングを含む家族学習 (全4時間) の効果を多層ベースラインデザインで検証することを目的とする. 具体的には, 前半にロールプレイング (2時間) を行ってから後半に一斉授業 (2時間) を行うクラスと前後半の実施順序を逆にしたクラスの2群に分けて教育効果を検証した. 教育効果の指標として, 家族に対する興味, 受容, 理解, 行為を尋ねる質問紙を, ベースライン期 (BL期), 前半終了時 (実践後1), 後半終了時 (実践後2), 家族学習終了1か月後のフォローアップ期 (FU期) の4時点で実施した. 本研究ではロールプレイングと一斉授業の教育効果の差異は検出されなかった. 一方, 家族学習を通じて, 中学生の親や家族に対する意識 (興味, 受容, 理解) や, 親子関係や家族関係を良くするための行為に関する自己評定値がポジティブ方向に変化した. また, 全ての尺度得点で時期の主効果が有意であり, BL期よりも実践後2の得点が高かったことから, ロールプレイングおよび一斉授業を含む家族学習全体の教育効果は示された. 以上のことから, 人間関係学に基づくロールプレイングを含む家族学習は, 未経験の家庭科教員であっても3度の研修により, 生徒の親や家族の関係に影響を与えることが明らかとなった. |
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ISSN: | 0913-5227 1882-0352 |
DOI: | 10.11428/jhej.76.312 |