自由ヴァルドルフ学校における鑑賞教育の諸相 京田辺シュタイナー学校の事例に着目して

本研究の目的は,自由ヴァルドルフ学校(Freien Waldorfschulen)における造形活動を「鑑賞」の観点から検討し,その諸相を解明することであった。「視覚」を用いた平面作品の鑑賞活動に焦点を絞り,この学校の教室内の掲示物や黒板絵,京田辺シュタイナー学校における実地調査,授業の参与観察,教員への聞き取り調査をもとに考察し,その諸相を論じた。創始者ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner,1861~1925)の感覚論における「視覚」に関する思想の概念を整理し,分析,考察した結果,この学校の鑑賞活動の特徴として,「純粋経験」としての鑑賞活動の重視,調和的な人間育成のための表現と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in美術教育学:美術科教育学会誌 Vol. 43; pp. 233 - 245
Main Author 吉田, 奈穂子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 美術科教育学会 2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0917-771X
2424-2497
DOI10.24455/aaej.43.0_233

Cover

More Information
Summary:本研究の目的は,自由ヴァルドルフ学校(Freien Waldorfschulen)における造形活動を「鑑賞」の観点から検討し,その諸相を解明することであった。「視覚」を用いた平面作品の鑑賞活動に焦点を絞り,この学校の教室内の掲示物や黒板絵,京田辺シュタイナー学校における実地調査,授業の参与観察,教員への聞き取り調査をもとに考察し,その諸相を論じた。創始者ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner,1861~1925)の感覚論における「視覚」に関する思想の概念を整理し,分析,考察した結果,この学校の鑑賞活動の特徴として,「純粋経験」としての鑑賞活動の重視,調和的な人間育成のための表現と鑑賞の往還の 2 点を見出すとともに,我が国における人間形成的意義をもつ美術教育やカリキュラムデザインのあり方に関して有益な示唆を得た。
ISSN:0917-771X
2424-2497
DOI:10.24455/aaej.43.0_233