びまん浸潤型大腸癌の壁内浸潤様式 組織学的な特異性についての検討

びまん浸潤型大腸癌(4型大腸癌)の壁内浸潤様式の特異性についての検討を行った.対象は4型大腸癌4例でリンパ管浸潤を主体とする型Lymphangiosis type(LA)と,印環細胞が間質に線維化を伴って浸潤性に増生する型Linitis plastica type(LP)の二群に分けられた.対照としてLAでは組織型が同一で脈管侵襲度も大腸癌取扱い規約のly3に相当する症例を,またLPでも組織型,脈管侵襲度が同一でありながら2または3型を示す症例の壁内浸潤様式を比較検討した.対照群と比較するとLAは(1)垂直方向で塊状の浸潤像を示さず,線維化が軽度で,固有筋層を破壊せずに深部浸潤し,(2)水平方...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 51; no. 3; pp. 168 - 176
Main Authors 密田, 亜希, 辻本, 志朗, 有木, 寿史, 浜谷, 茂治, 山下, 茂一, 柳田, 真岐, 長谷川, 千花子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 1998
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.51.168

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Summary:びまん浸潤型大腸癌(4型大腸癌)の壁内浸潤様式の特異性についての検討を行った.対象は4型大腸癌4例でリンパ管浸潤を主体とする型Lymphangiosis type(LA)と,印環細胞が間質に線維化を伴って浸潤性に増生する型Linitis plastica type(LP)の二群に分けられた.対照としてLAでは組織型が同一で脈管侵襲度も大腸癌取扱い規約のly3に相当する症例を,またLPでも組織型,脈管侵襲度が同一でありながら2または3型を示す症例の壁内浸潤様式を比較検討した.対照群と比較するとLAは(1)垂直方向で塊状の浸潤像を示さず,線維化が軽度で,固有筋層を破壊せずに深部浸潤し,(2)水平方向へ左右幅広くリンパ管内進展を示していた。LPは(1)垂直方向で大粘液結節による腫瘍塊を形成せずに浸潤し,固有筋層の破壊もなく,(2)水平方向で印環細胞が小粘液結節を伴い幅広い進展を示していた.4型大腸癌の壁内浸潤様式について,LAではリンパ管内という進展経路に特異性があり,癌細胞の特殊な接着性などが要因として考えられた.LPでは印環細胞型粘液癌という組織型に特異性があり,大腸の印環細胞は胃のそれとは異なる形質により4型癌に至ると思われた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.51.168