人工股関節置換術を受けた患者の 社会的役割の継続を模索するプロセス 退院時から術後6か月の脱臼のリスクが 低減していくまでの時期に焦点をあてて

本研究の目的は,人工股関節置換術後患者が術後3〜4か月を経て術後6か月を迎えるまでに,社会的役割の継続を模索するプロセスを明らかにすることである.データ収集方法は人工股関節置換術後6か月から1年程度経過した患者に対する半構成的面接を用いた.分析方法はグラウンデッド・セオリー・アプローチとした.結果,6名の研究参加者を得た.分析した結果,コアカテゴリー[人工股関節置換術を受けた人が,自身の動作の回復の程度をみながら周囲からの役割期待に応えるために必要な動きと折り合いをつけていく]が生成された.参加者は術後,〈元々求められていた動きができるかを探る〉〈取り繕う〉〈杖の卒業を覚悟する〉〈動作に条件を...

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Published in日本運動器看護学会誌 Vol. 15; pp. 56 - 64
Main Author 大曽根, 裕樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本運動器看護学会 2020
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ISSN2186-635X
2435-001X
DOI10.34324/jsmn.15.0_56

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Summary:本研究の目的は,人工股関節置換術後患者が術後3〜4か月を経て術後6か月を迎えるまでに,社会的役割の継続を模索するプロセスを明らかにすることである.データ収集方法は人工股関節置換術後6か月から1年程度経過した患者に対する半構成的面接を用いた.分析方法はグラウンデッド・セオリー・アプローチとした.結果,6名の研究参加者を得た.分析した結果,コアカテゴリー[人工股関節置換術を受けた人が,自身の動作の回復の程度をみながら周囲からの役割期待に応えるために必要な動きと折り合いをつけていく]が生成された.参加者は術後,〈元々求められていた動きができるかを探る〉〈取り繕う〉〈杖の卒業を覚悟する〉〈動作に条件をつける〉の4局面を経て社会復帰を模索していた.参加者はその時々の股関節の動きをみながら,社会復帰に必要な動きを吟味し決断している様相が示された.社会復帰に向かうためには,患者が抱いている現実と理想とのギャップを埋めること,また〈杖の卒業を覚悟する〉ための自己効力感を上げる関わりが重要である.
ISSN:2186-635X
2435-001X
DOI:10.34324/jsmn.15.0_56