キノロン系WQ-3034およびHSR-903のin vitro抗マイコバクテリウム活性

WQ-3034およびHSR-903は, グラム階性球菌に特に優れた抗菌力を有する新規キノロン薬であるが, 今回は, これらの薬剤のin vitro抗結核菌ならびに抗Mycobacterium avium complex (MAC) 活性について, sitafloxacin (STFX), gatifloxacin (G-FLX), sparfloxacin (SPFX), levofloxacin (LVFX), ciprofloxacin (CPFX) との比較検討を行った。まず, 7H11培地を用いた寒天平板希釈法で測定したMIC50の比較では, RFP感受性結核菌に対してはSTFX, G...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 48; no. 12; pp. 892 - 897
Main Authors 冨岡, 治明, 小笠原, 圭子, 佐藤, 勝昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.12.2000
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.48.892

Cover

More Information
Summary:WQ-3034およびHSR-903は, グラム階性球菌に特に優れた抗菌力を有する新規キノロン薬であるが, 今回は, これらの薬剤のin vitro抗結核菌ならびに抗Mycobacterium avium complex (MAC) 活性について, sitafloxacin (STFX), gatifloxacin (G-FLX), sparfloxacin (SPFX), levofloxacin (LVFX), ciprofloxacin (CPFX) との比較検討を行った。まず, 7H11培地を用いた寒天平板希釈法で測定したMIC50の比較では, RFP感受性結核菌に対してはSTFX, GFLX (各0.1μg/mL)<SPFX (0.2μg/mL)<LVFX (0.39μg/mL)<WQ-3034, HSR-903, CPFX (各0.78μg/mL) の順であり, RFP耐性結核菌に対してはST既GFLX (各0.39μg/mL)<SPFX,。また, RFP感受性MACに対するMIC50はSTFX, GFLX (6.25μg/mL)<SPFX, HSR-903 (各12.5μg/mL)<LVFX, WQ-3034, CPFX (各25μg/mL) の順であり, RFP耐性MACに対してはSTFX, SPFX (各1.56μg/mL)<GFLX, WQ-3034, HSR-903, CPFX (各3.13μg/mL)<LVFX (6.25μg/mL) の順であった。なおMIC90値についてもおおむね同様な成績が得られている。次に, 供試薬剤を血中Cmax濃度で添加した場合のMono Mac 6ヒトマクロファージ細胞株 (MM6-MΦ) およびA-549ヒトII型肺胞上皮細胞株内局在結核菌 (93062株) に対する抗菌活性についてみたところ, SPFX≧LVFX>WQ-3034>CPFXの順の活性が認められた。また, MIC濃度で加えた場合のMM6-MΦ 内局在結核菌 (Kurono株) に対する抗菌活性はWQ-3034≧HSR-903>LVEXの順であった。以上の成績より, WQ-3034やHSR-903の抗マイコバクテリウム活性はLVFXとほぼ同等と考えられる。したがって, キノロン薬においてはグラム陽性球菌に対する抗菌力の増強は, 結核菌やMAC菌に対する抗菌力の増強には必ずしもつながらないものと考えられた。次に, WQ-3034, HSR-903各単独ならびに他剤との併用での細胞外MAC菌に対する抗菌活性について検討したところ, 両キノロン薬の抗菌力はclarithromycinやrifampicinとの併用により, かえって減弱するものの, isoniazidとの間には有意な併用効果が認められることが明らかになった。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.48.892