中小規模医療施設における看護研究指導者の充実に向けた研修プログラムの開発 研修の有効性の評価

(緒言) 看護研究は,看護実践の根拠を明らかにし,実践の質の向上に欠かせないが,臨床現場で働く看護職者が,看護研究活動を行うには多くの困難があるといわれている. 本研究は,千葉県内の中小規模病院における看護研究指導者の充実を目指して2019年3月に実施した研修効果の持続性と,研修受講者の所属組織内に生じた変化について明らかにすることを目的として行った.(研究方法)1.対象 2019年3月の研修受講者で研究の同意が得られた中堅看護師や看護管理職者19名2.期間 2019年4月~2020年3月3.データ収集方法 研修受講6か月後に調査を実施した. 調査内容は,①研究及び研究指導に取り組みたいと思う...

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Published in千葉県立保健医療大学紀要 Vol. 12; no. 1; p. 1_103
Main Authors 浅井, 美千代, 杉本, 知子, 河部, 房子, 片平, 伸子, 西野, 郁子, 富樫, 恵美子, 佐藤, 紀子, 北川, 良子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 千葉県立保健医療大学 31.03.2021
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ISSN1884-9326
2433-5533
DOI10.24624/cpu.12.1_1_103

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Summary:(緒言) 看護研究は,看護実践の根拠を明らかにし,実践の質の向上に欠かせないが,臨床現場で働く看護職者が,看護研究活動を行うには多くの困難があるといわれている. 本研究は,千葉県内の中小規模病院における看護研究指導者の充実を目指して2019年3月に実施した研修効果の持続性と,研修受講者の所属組織内に生じた変化について明らかにすることを目的として行った.(研究方法)1.対象 2019年3月の研修受講者で研究の同意が得られた中堅看護師や看護管理職者19名2.期間 2019年4月~2020年3月3.データ収集方法 研修受講6か月後に調査を実施した. 調査内容は,①研究及び研究指導に取り組みたいと思う程度,②所属施設内における研究の取り組み状況,③研究に関する知識確認テスト,④自由記述とし,調査票を送付した.4.データ分析方法 調査内容①の取り組みたいと思う程度については10件法,③は正答数を得点化(範囲0-10)した.研修直前,直後,研修後6か月の3時点における①③の平均点±1SDを算出し比較検討した.②については,回答者の割合を算出した.(結果) 1)対象の概要 17名から回答があり,回収率89.5%であった.対象者の臨床経験年数は平均21.2±5.9年であった. 2)研究の実施と指導に対する関心度 研究に取り組みたいと思う程度は,受講前5.8±2.7点,受講直後7.6±1.6点,受講6か月後6.0±2.1点,研究指導に取り組みたいと思う程度は,受講前5.6±3.1点,受講直後7.7±1.8点,受講6か月後6.3±2.0点で,受講直後に上昇した平均値が,受講6か月後では低下していた. 3)所属施設内における研究の取り組み状況 研修受講終了後に,所属施設内で研修内容に関する伝達講習を実施した者は4名(23.5%),研究を実施している者は5名(29.4%),研究指導を行っている者は9名(56.3%)を占めた. 4)研究に関する知識獲得状況 研究に関する知識確認テストは,受講前の平均正答数が6.2±1.7,受講直後8.9±1.1,受講6か月後7.8±1.3で,受講前に比べて受講直後と受講6か月後は高値となっていた. 5)自由記述内容 自由記述内容には,「学び直すことで自信につながり指導が少しできるようになってきた」「計画書を見直すことが少しできるようになった」など研修成果を感じていることが挙げられた一方で,「現場ではなかなか時間がとれず難しい」「わからないこと・出来ないことが次々に出てきて研究にとり組むことの道のりの果てしなさに心がくじけそうになる」など研修での学びを現場で活かすことの難しさが挙げられた.(考察) 研究に関する知識獲得状況は受講前に比べて受講直後と受講6か月後は高値となり,研修受講を通して習得した知識が定着したと考えられた. しかし,研究実施や研究指導に対する研修受講者の関心は,現場に戻った時の研究活動・研究指導の難しさにより低下する傾向があると推測されるため,研修受講者の関心を維持するための定期的なフォローアップが必要になると考えられた.(倫理規定) 本研究は,千葉県立保健医療大学研究等倫理委員会の承認(申請番号2018-32)を得て実施した.(利益相反) 本研究における利益相反はない.
ISSN:1884-9326
2433-5533
DOI:10.24624/cpu.12.1_1_103