腸管内に迷入し抜去を要した腰椎-腹腔シャントチューブ感染の1例

症例は41歳の男性で,2年前に他院で脳出血による水頭症に対して腰椎-腹腔シャント(lumbo-peritoneal shunt:以下,LPSと略記)挿入術を施行された.右側腹部痛で当院を受診し,腹部単純CTにて,LPSチューブが腹壁直下の回腸末端に迷入していたことが判明した.また,皮下のチューブ周囲で脂肪織濃度の上昇を認めたことから,腹腔側のLPSチューブから逆行性に皮下の瘻孔感染をきたしていると診断され,治療目的に当科に紹介となった.脳神経外科にて腰椎のLPSチューブを抜去し,当科にて感染した皮下瘻孔ごと腸管迷入部まで剥離し,腸管迷入部に切開を加えてLPSチューブを抜去,縫合閉鎖した.術後髄...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 86; no. 2; pp. 322 - 327
Main Authors 寺境 宏介, 河野 弘, 鳥居 剛, 加藤 祐一郎, 山口 直哉, 水谷 文俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2025
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.86.322

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Summary:症例は41歳の男性で,2年前に他院で脳出血による水頭症に対して腰椎-腹腔シャント(lumbo-peritoneal shunt:以下,LPSと略記)挿入術を施行された.右側腹部痛で当院を受診し,腹部単純CTにて,LPSチューブが腹壁直下の回腸末端に迷入していたことが判明した.また,皮下のチューブ周囲で脂肪織濃度の上昇を認めたことから,腹腔側のLPSチューブから逆行性に皮下の瘻孔感染をきたしていると診断され,治療目的に当科に紹介となった.脳神経外科にて腰椎のLPSチューブを抜去し,当科にて感染した皮下瘻孔ごと腸管迷入部まで剥離し,腸管迷入部に切開を加えてLPSチューブを抜去,縫合閉鎖した.術後髄液漏を認めたため,術後26日目に脳神経外科にて再手術となったが,術後54日目に施設退院となった.LPSチューブが腸管に迷入する稀な1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.86.322