共沈-グラファイト炉原子吸光法による尿中クロム(III)とクロム(VI)の分別定量

3価のクロム化合物のみが水酸化鉄(III)とともに沈殿を生成することを利用し,尿中クロムの3価と6価の分別定量を行った.まずクロム(III)をpH10で水酸化鉄(III)に共沈捕集し,その演液にL-アスコルビン酸を加え,残ったクロム(VI)をクロム(III)に還元し,pH10で水酸化鉄(III)に共沈捕集した.各沈殿は硝酸-過酸化水素により含有する有機物を湿式分解した後に定容とし,高輝度重水素ランプによるバックグラウンド補正を施したグラファイト炉原子吸光法によりクロム濃度を定量した.尿を前濃縮する際,尿中の有機物により,クロム(VI)の一部がクロム(III)に還元されるため,合成尿を用いて得た...

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Published in分析化学 Vol. 30; no. 1; pp. 66 - 70
Main Authors 四条, 好雄, 木本, 良輔, 清水, 得夫, 酒井, 馨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.01.1981
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.30.66

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Summary:3価のクロム化合物のみが水酸化鉄(III)とともに沈殿を生成することを利用し,尿中クロムの3価と6価の分別定量を行った.まずクロム(III)をpH10で水酸化鉄(III)に共沈捕集し,その演液にL-アスコルビン酸を加え,残ったクロム(VI)をクロム(III)に還元し,pH10で水酸化鉄(III)に共沈捕集した.各沈殿は硝酸-過酸化水素により含有する有機物を湿式分解した後に定容とし,高輝度重水素ランプによるバックグラウンド補正を施したグラファイト炉原子吸光法によりクロム濃度を定量した.尿を前濃縮する際,尿中の有機物により,クロム(VI)の一部がクロム(III)に還元されるため,合成尿を用いて得た還元率23.0%を実際試料に準用し,補正した.24時間尿を用いた場合の変動係数は,クロム(III),クロム(VI)に対し,それぞれ6.21%,4.44%(n=4)であった.実際試料に適用し,満足できる結果を得た.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.30.66