病いにより苦悩する神経難病患者と関わる看護師のありようの探求 注入食中止の意思を表明した患者と関わった看護師の体験に着目して

本研究の目的は、神経難病を患い苦悩する患者と携わる看護師の体験に着目し、そこでの看護師のありようを明らかにすることである。非構造化インタビューにて収集した研究参加者10名のデータをBennerの解釈学的現象学的アプローチを参考に分析した。結果、看護師のありようとして【救済的】、【管理的】、【合理的】、【情緒的】、【受容的】の5つのテーマが導き出された。これら5つのありようは、看護師たちが患者に対して“違和感のようなもの”や“葛藤”を抱いた出来事において豊かに記述された。注入食中止の意思を表明した患者と関わった看護師の体験からは、患者を理解するということは、患者の感情や意見に同感することではなく...

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Published in人体科学 Vol. 29; no. 1; pp. 11 - 21
Main Author 長谷川, 幹子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 人体科学会 15.07.2020
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ISSN0918-2489
2424-2314
DOI10.20788/jmbs.29.1_11

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Summary:本研究の目的は、神経難病を患い苦悩する患者と携わる看護師の体験に着目し、そこでの看護師のありようを明らかにすることである。非構造化インタビューにて収集した研究参加者10名のデータをBennerの解釈学的現象学的アプローチを参考に分析した。結果、看護師のありようとして【救済的】、【管理的】、【合理的】、【情緒的】、【受容的】の5つのテーマが導き出された。これら5つのありようは、看護師たちが患者に対して“違和感のようなもの”や“葛藤”を抱いた出来事において豊かに記述された。注入食中止の意思を表明した患者と関わった看護師の体験からは、患者を理解するということは、患者の感情や意見に同感することではなく、患者との差異を感得することであることが示された。また、看護師の【受容的】なありようにおいてこそ、患者の固有性を感得して、患者の希望するあり方を支える看護が可能になることが示唆された。
ISSN:0918-2489
2424-2314
DOI:10.20788/jmbs.29.1_11