肝疾患における細胞性免疫の研究 血清中HBs抗原の有無とT cell, B cell分布を中心に

ウィルス性肝炎の発症ならびに慢性化の病因を細胞性免疫の面から明らかにすることを目的として,116症例の各種肝疾患を病型と血清中のHBs抗原の有無を区別して,末梢血中のTcell,B cell分布,その数およびリンパ球数,リンパ球のPHAに対する幼若化率を検討した.その結果,肝疾患の病型を同じにすれば,HBs抗原の有無によるTcell, B cell分布および数には有意な差を認めないが,病型別では差があり,とくに肝硬変でTcell分布とTcell, B cellの数で著明な低下をみとめ,慢性肝炎で,とくにSNを伴う慢性肝炎で同様にTcell分布とT cell, B cellの数が他の慢性肝炎病型...

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Published in肝臓 Vol. 16; no. 10; pp. 692 - 701
Main Author 野崎, 肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.10.1975
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.16.692

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Summary:ウィルス性肝炎の発症ならびに慢性化の病因を細胞性免疫の面から明らかにすることを目的として,116症例の各種肝疾患を病型と血清中のHBs抗原の有無を区別して,末梢血中のTcell,B cell分布,その数およびリンパ球数,リンパ球のPHAに対する幼若化率を検討した.その結果,肝疾患の病型を同じにすれば,HBs抗原の有無によるTcell, B cell分布および数には有意な差を認めないが,病型別では差があり,とくに肝硬変でTcell分布とTcell, B cellの数で著明な低下をみとめ,慢性肝炎で,とくにSNを伴う慢性肝炎で同様にTcell分布とT cell, B cellの数が他の慢性肝炎病型と肝硬変の中間程度に低下しており,注目された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.16.692