Radiation-induced apoptosis of optic chiasmal oligodendrocytes in the adult rat

放射線照射後の遅発性視神経障害は, 臨床上経験される時に重篤な頭部放射線治療後の副作用であるが, 現在までその機序は不明である. 本研究は, 一回大量放射線照射後の超急性期に認められる視交叉におけるグリア細胞の放射線障害を成熟ラットを用いて検討したものである. 全身麻酔下にラットの全脳に20Gyを1回で照射して1, 4, 8, 24時間後に灌流固定した後, 視交叉においてすべてのグリア細胞数をカウントし, TUNEL染色陽性で形態学的にアポトーシスのクライテリアを満たす細胞の占める比率を算出した. 視交叉グリア細胞におけるアポトーシス細胞の比率は照射4および8時間後に有意(p<0.000...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJOURNAL OF THE KYORIN MEDICAL SOCIETY Vol. 35; no. 4; p. 425
Main Author 永山和樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published The Kyorin Medical Society 30.12.2004
杏林医学会
Online AccessGet full text
ISSN0368-5829
1349-886X
DOI10.11434/kyorinmed.35.425

Cover

More Information
Summary:放射線照射後の遅発性視神経障害は, 臨床上経験される時に重篤な頭部放射線治療後の副作用であるが, 現在までその機序は不明である. 本研究は, 一回大量放射線照射後の超急性期に認められる視交叉におけるグリア細胞の放射線障害を成熟ラットを用いて検討したものである. 全身麻酔下にラットの全脳に20Gyを1回で照射して1, 4, 8, 24時間後に灌流固定した後, 視交叉においてすべてのグリア細胞数をカウントし, TUNEL染色陽性で形態学的にアポトーシスのクライテリアを満たす細胞の占める比率を算出した. 視交叉グリア細胞におけるアポトーシス細胞の比率は照射4および8時間後に有意(p<0.0001)に上昇し(1.5%±1.4%および1.9%±0.9%), 24時間後には照射前の状態に戻った. 一方, 未照射の視交叉ではアポトーシス細胞はほとんど検出されなかった. この急性期の放射線障害の出現率を大脳白質の脳梁と検討すると, 視交叉において有意(p=0.047)に低率であった. 免疫組織学的にアポトーシス細胞はオリゴデンドロサイトのマーカーであるCNP染色で陽性を示し, 照射後超急性期にアポトーシスによるオリゴデンドロサイトの細胞死が生じることが明らかとなった. 本研究により, 脳神経における放射線照射後の急性期組織障害が初めて明らかになった. しかしその程度は大脳白質より有意に低く, 今後, この急性期のオリゴデンドログリアの障害が遅発性の脱髄性障害や放射線壊死にどのように関与しているのかを解明する必要がある.
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.35.425