STI571 (メシル酸イマチニブ)が奏効した腹膜播種陽性小腸GISTの1例

最近, c-kit陽性のGISTに対する治療の一つとしてSTI571 (メシル酸イマチニブ)の有効性が報告されている.今回,腹膜播種を伴った小腸GISTに対して術後STI571を投与し,著効した症例を経験したので報告する. 症例は76歳,男性.主訴は貧血,下血.精査の結果,空腸に発生した小腸腫瘍の診断で手術を施行した. Treitz靱帯より60cmの部位に弾性硬の腫瘍と腹腔内ほぼ全域に転移巣と思われる5~10mm大の粒状腫瘍を多数認めた.術中迅速病理で小腸GISTおよび腹膜転移と診断された.出血源の小腸を部分切除し手術を終了した.腫瘍はc-kit陽性, smooth muscle type,高...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 10; pp. 2508 - 2511
Main Authors 山田, 哲司, 加藤, 秀明, 吉野, 裕司, 森田, 克哉, 村上, 望, 足立, 巌
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2003
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.2508

Cover

More Information
Summary:最近, c-kit陽性のGISTに対する治療の一つとしてSTI571 (メシル酸イマチニブ)の有効性が報告されている.今回,腹膜播種を伴った小腸GISTに対して術後STI571を投与し,著効した症例を経験したので報告する. 症例は76歳,男性.主訴は貧血,下血.精査の結果,空腸に発生した小腸腫瘍の診断で手術を施行した. Treitz靱帯より60cmの部位に弾性硬の腫瘍と腹腔内ほぼ全域に転移巣と思われる5~10mm大の粒状腫瘍を多数認めた.術中迅速病理で小腸GISTおよび腹膜転移と診断された.出血源の小腸を部分切除し手術を終了した.腫瘍はc-kit陽性, smooth muscle type,高度悪性のGISTであった.退院後患者と相談のうえ術後17週目よりSTI571を投与したところ腹水は減少し,腹膜播種巣は寛解した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.2508