急性肝不全の病態に関する実験的研究(1) 家兎Galactosamine肝炎における凝固・線溶動態の解析
家兎にD-galactosamine HCl (Gal)を1g/kg経静脈投与して作製した急性肝不全モデルにおいて,その凝固・線溶動態を肝機能・補体・endotoxinとの関連のもとに検討した.Gal静注後,家兎は典型的な急性肝不全病態を呈して平均34.2±15.1時間で死亡したが,早期より第VII因子を筆頭に肝産生凝固因子の漸減が認められた.血漿総補体価は15時間以内に著減し,血中endotoxinは経過中15例中14例(93%)に検出された.DICの合併は高率に認められ,血小板数と腎糸球体血栓の有無の間に密接な関係がうかがわれた.生存例は死亡例に比して,血漿総補体価,凝固因子の低下が軽度で...
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| Published in | 肝臓 Vol. 21; no. 11; pp. 1520 - 1531 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
25.11.1980
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| Subjects | |
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| ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI | 10.2957/kanzo.21.1520 |
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| Summary: | 家兎にD-galactosamine HCl (Gal)を1g/kg経静脈投与して作製した急性肝不全モデルにおいて,その凝固・線溶動態を肝機能・補体・endotoxinとの関連のもとに検討した.Gal静注後,家兎は典型的な急性肝不全病態を呈して平均34.2±15.1時間で死亡したが,早期より第VII因子を筆頭に肝産生凝固因子の漸減が認められた.血漿総補体価は15時間以内に著減し,血中endotoxinは経過中15例中14例(93%)に検出された.DICの合併は高率に認められ,血小板数と腎糸球体血栓の有無の間に密接な関係がうかがわれた.生存例は死亡例に比して,血漿総補体価,凝固因子の低下が軽度であり,両者の検討は急性肝不全の予後判定に有用であることが示唆された.急性肝不全においては,凝固・線溶異常がendotoxin・補体系との密接な関連のもとに発現し,その終末像としてのDICは腎不全や消化管出血など,致死的な合併症の一因をなすと考えられた. |
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| ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI: | 10.2957/kanzo.21.1520 |