妊娠初期に帝王切開瘢痕部妊娠と診断した症例の検討

「要約」 : 「目的」 : 帝王切開瘢痕部妊娠 (Cesarean Scar Pregnancy ; CSP) は, 既往帝王切開瘢痕部に着床する異所性妊娠であり, 着床部位が破裂し, 大量出血を合併するため母体管理が必要な病態である. 従って妊娠初期の早い段階で, 診断し大量出血を来す前に妊娠中絶する事も考慮される. CSPに対する妊娠中絶の方法は一定のコンセンサスがないためCSPに対して安全に管理するためにどの様な手法がよいか検討する事を目的にした. 「対象および方法」 : 当院にて2016年1月~2021年12月までに経験した妊娠初期にCSPと診断した4症例を後方視的に検討した. 「結果...

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Published in東邦医学会雑誌 Vol. 71; no. 2; pp. 62 - 68
Main Authors 石田洋昭, 萬来めぐみ, 田杭千穂, 野中みづき, 江頭大樹, 佐藤悠子, 麻野徳仁, 後藤彩, 小宮山朋美, 高島明子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東邦大学医学会 01.06.2024
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ISSN0040-8670

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Summary:「要約」 : 「目的」 : 帝王切開瘢痕部妊娠 (Cesarean Scar Pregnancy ; CSP) は, 既往帝王切開瘢痕部に着床する異所性妊娠であり, 着床部位が破裂し, 大量出血を合併するため母体管理が必要な病態である. 従って妊娠初期の早い段階で, 診断し大量出血を来す前に妊娠中絶する事も考慮される. CSPに対する妊娠中絶の方法は一定のコンセンサスがないためCSPに対して安全に管理するためにどの様な手法がよいか検討する事を目的にした. 「対象および方法」 : 当院にて2016年1月~2021年12月までに経験した妊娠初期にCSPと診断した4症例を後方視的に検討した. 「結果」 : 妊娠7週未満で, 胎児心拍が陰性で腹腔内出血を来していない2症例は, 子宮内容除去術 (子宮頸管拡張および吸引術) のみで加療が完遂できた一方で, 子宮破裂を来たし救急搬送された2例は, 緊急で腹式単純子宮全摘となった. 「結論」 : CSPの対応として, 可能な限り, 早い妊娠週数で診断し, 臨床症状を伴う前に早急な対応を取る事で, 良好な転帰を辿る可能性が示唆された.
ISSN:0040-8670