職域成人における前歯部根面う蝕の有病状況と関連要因

「緒言」 近年, 日本人の現在歯数は増加傾向にあり, 4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合も増加している. 平成29年版高齢社会白書によると日本の高齢化率は27.3%であり, 今後も増加が予測される. つまり, 日本ではさらなる高齢化とともに歯根露出も増えることが予想され, 根面う蝕の増加が懸念される. 事実, 平成28年歯科疾患実態調査結果では, 高齢者のう蝕を持つ割合は増加しており, この中には根面う蝕の有病者が含まれていることが推測される. 日本における根面う蝕の有病状況の実態報告は, 高齢者を対象としたものがほとんどである. 65歳以上の有歯顎者465名を対象とした調査において,...

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Published in神奈川歯学 Vol. 53; no. 1/2; pp. 11 - 18
Main Authors 持田悠貴, 山本龍生, 川村和章, 宋文群, 大澤多恵子, 渕田慎也, 荒川浩久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.12.2018
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」 近年, 日本人の現在歯数は増加傾向にあり, 4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合も増加している. 平成29年版高齢社会白書によると日本の高齢化率は27.3%であり, 今後も増加が予測される. つまり, 日本ではさらなる高齢化とともに歯根露出も増えることが予想され, 根面う蝕の増加が懸念される. 事実, 平成28年歯科疾患実態調査結果では, 高齢者のう蝕を持つ割合は増加しており, この中には根面う蝕の有病者が含まれていることが推測される. 日本における根面う蝕の有病状況の実態報告は, 高齢者を対象としたものがほとんどである. 65歳以上の有歯顎者465名を対象とした調査において, 活動性根面う蝕の有病者率は30.3%であった. 60~94歳までの健常者161名を対象とした調査では, 活動性根面う蝕(着色した軟化歯質のある実質欠損), 非活動性根面う蝕(表面に実質欠損および着色はあるが軟化した歯質が認められないもの)および処置済み根面を合わせた根面う蝕経験者率は28.6%, 活動性根面う蝕有病者率は13.7%であった.
ISSN:0454-8302