新アミノ配糖体系抗生物質KW-1070にかんする薬理学的研究 第2報循環系, 平滑筋臓器, 尿排泄に対する作用ならびに抗原性の有無について

マウス, ラット, ウサギ, モルモット, ネコおよびイヌを使用し, 薬物安全性の立場から, KW-1070の循環系, 平滑筋臓器および尿排泄等に対する作用をkanamycin (KM) およびribostamycin (RSM) の作用と比較検討した。さらに, KW-1070の抗原性の有無についても検討した。(1) KW-1070を静脈内に大量投与した場合, KMおよびRSMとほぼ同程度の血圧下降, 呼吸数増加, 末梢血管拡張および心拍数減少がみられた。KW-1070の血圧下降はdiphenhydramine, atropine, prepranelol等の薬物の影響を受けず, また迷走神経...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 29; no. Supplement2; pp. 85 - 98
Main Authors 山次, 貞義, 石井, 秀衛, 周藤, 勝一, 丸茂, 博大, 平山, 滝幸, 大森, 健守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.10.1981
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.29.Supplement2_85

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Summary:マウス, ラット, ウサギ, モルモット, ネコおよびイヌを使用し, 薬物安全性の立場から, KW-1070の循環系, 平滑筋臓器および尿排泄等に対する作用をkanamycin (KM) およびribostamycin (RSM) の作用と比較検討した。さらに, KW-1070の抗原性の有無についても検討した。(1) KW-1070を静脈内に大量投与した場合, KMおよびRSMとほぼ同程度の血圧下降, 呼吸数増加, 末梢血管拡張および心拍数減少がみられた。KW-1070の血圧下降はdiphenhydramine, atropine, prepranelol等の薬物の影響を受けず, また迷走神経切断ウサギ, 脊髄ネコにおいても血圧下降は出現した。(2) KW-1070の投与は摘出心臓, 心房の収縮力を抑制し, 拍動数を減少した。(3) 血液に対してはKW-1070は10-3g/ml以上の高濃度で溶血作用や凝固時間延長作用を示した。(4) KW-1070の投与は摘出ウサギ回腸およびラット子宮の自動運動や摘出モルモット回腸, 気管, 輸精管の各種spasmogenによる収縮反応を抑制した。累積用量法でその作用を分析してみると, 非競合型拮抗様式を示したが, そのpD2'値はKMおよびRSMのそれとほぼ同程度であった。(5) KW-1070の投与はラットの尿およびNa+排泄量を軽度減少させたが, イヌのRPF, GFRなど腎内血行動態には作用しなかった。(6) KW-1070にはモルモット, マウス, ラットにおいて抗原性は認められなかった。 以上のように, KW-1070は各種動物の循環系, 平滑筋臓器および尿排泄に対して, KMやRSMとよく似た作用を示したが, これらKW-1070の一般薬理作用発現量は, 臨床適応時の投与量に比べて高用量であった。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.29.Supplement2_85