内頸動脈の窓形成

椎骨動脈およびwillis動脈輪周囲の主要分岐動脈の窓形成(fenestration)は, これまでも数多く報告されているが, 頸動脈自体の窓形成はきわめて例外的であり, 脳血管写上ではこれまでに類似の血管奇形である内頸動脈の重複(duplication)の1例が報告されているにすぎない8). 窓形成は胎生期の血管形成過程で動脈吻合枝の癒合, 吸収, 退化, 遺残などに錯誤が生じたため発生すると考えられているが, 頸動脈の発生過程が, 椎骨動脈系の場合ほどには複雑でないことが頸動脈窓形成の少ない一因となっていると思われる. 症例 我々は, 前交通動脈と右内頸動脈窓形成を合併した臨床例を経験した...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. 4; pp. 291 - 294
Main Authors 田中允, 松本悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
Online AccessGet full text
ISSN0470-8105

Cover

More Information
Summary:椎骨動脈およびwillis動脈輪周囲の主要分岐動脈の窓形成(fenestration)は, これまでも数多く報告されているが, 頸動脈自体の窓形成はきわめて例外的であり, 脳血管写上ではこれまでに類似の血管奇形である内頸動脈の重複(duplication)の1例が報告されているにすぎない8). 窓形成は胎生期の血管形成過程で動脈吻合枝の癒合, 吸収, 退化, 遺残などに錯誤が生じたため発生すると考えられているが, 頸動脈の発生過程が, 椎骨動脈系の場合ほどには複雑でないことが頸動脈窓形成の少ない一因となっていると思われる. 症例 我々は, 前交通動脈と右内頸動脈窓形成を合併した臨床例を経験したので, 若干の考察を加えて報告する. 〈患者>58才, 男性 家族歴:特記すべきことなし 既往歴:糖尿病, 高血圧 主訴:意識障害
ISSN:0470-8105