新生児用自動ABR装置(AABR)による新生児の聴覚スクリーニングの成績
目的:難聴児の早期発見のため, 新生児用自動ABR装置natus-ALGO2e(以下AABRとする)を使用し, 新生児期での聴覚スクリーニングとして用いた時の有用性と従来のABRと比較検討を行ったので報告する. 対象と方法:対象は東邦大学大森病院周産期センターに入院した新生児725児1450耳で, 難聴のハイリスク児75児のうち30児60耳には従来のABR(MEB-5504)も施行した. AABRの測定結果はアルゴリズム解析によりPASS(正常)とREFER(要精査)とで判定した. 結果:(1)AABRは全例鎮静剤を使用せず自然睡眠下に施行可能であった. 両側PASSが716児(98.8%),...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 105; no. 7; pp. 804 - 811 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科学会
2002
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ISSN | 0030-6622 |
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Summary: | 目的:難聴児の早期発見のため, 新生児用自動ABR装置natus-ALGO2e(以下AABRとする)を使用し, 新生児期での聴覚スクリーニングとして用いた時の有用性と従来のABRと比較検討を行ったので報告する. 対象と方法:対象は東邦大学大森病院周産期センターに入院した新生児725児1450耳で, 難聴のハイリスク児75児のうち30児60耳には従来のABR(MEB-5504)も施行した. AABRの測定結果はアルゴリズム解析によりPASS(正常)とREFER(要精査)とで判定した. 結果:(1)AABRは全例鎮静剤を使用せず自然睡眠下に施行可能であった. 両側PASSが716児(98.8%), 片側REFERは6児(0.8%), 両側REFERは3児(0.4%)であった. 平均測定時間は5.12±6.08分と短時間に行えた. (2)ローリスク児650児1300耳では両側PASSが646児(99.4%), 片側REFERは4児(0.6%)であった. 片側REFER 4児は約1週間後再測定したが全例PASSであった. (3)難聴のハイリスク児30児60耳におけるABRとの比較では, AABRでPASSと判定された53耳のうち2耳でABRの異常を認めた. この不一致例2児2耳は極低出生体重と染色体異常を認め, 現在外来にて経過観察中である. (4)AABRにて片側REFER, 両側REFER 4児7耳はABRでも全例異常であり, リスクファクターとして極低出生体重, 新生児仮死, 長期の人工呼吸管理を認め, このうち1児2耳は退院後1歳2ヵ月の時点でもABRは両側とも無反応である. |
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ISSN: | 0030-6622 |