抗ARS抗体症候群に血球貪食症候群 (HPS) が合併した1例
「抄録」48歳, 女性, 主訴は発熱, 全身倦怠感. 2013年12月から38℃の発熱が出現し近医受診. 間質性肺炎を指摘されるも経過観察となっていた. 2014年1月に手指の皮疹, 末梢血流障害が出現. 成人Still病疑いと診断され, ベタメタゾン(0.5mg/day)とシクロスポリン(75mg/day)でコントロールされていた. 2014年11月に全身倦怠感, 発熱, 頭痛などの症状出現. 頭部MRIで下垂体腫大認め, 採血でも抗下垂体抗体陽性のため自己免疫性下垂体炎と診断. 当院での治療を希望されたため2015年5月当院内分泌科入院となったが, 活動性は乏しく, 無治療経過観察となった...
Saved in:
Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 39; no. 6; pp. 538 - 544 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
31.12.2016
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0911-4300 |
Cover
Summary: | 「抄録」48歳, 女性, 主訴は発熱, 全身倦怠感. 2013年12月から38℃の発熱が出現し近医受診. 間質性肺炎を指摘されるも経過観察となっていた. 2014年1月に手指の皮疹, 末梢血流障害が出現. 成人Still病疑いと診断され, ベタメタゾン(0.5mg/day)とシクロスポリン(75mg/day)でコントロールされていた. 2014年11月に全身倦怠感, 発熱, 頭痛などの症状出現. 頭部MRIで下垂体腫大認め, 採血でも抗下垂体抗体陽性のため自己免疫性下垂体炎と診断. 当院での治療を希望されたため2015年5月当院内分泌科入院となったが, 活動性は乏しく, 無治療経過観察となった. 発熱・間質性肺炎・レイノー症状・両側大腿内側部の筋痛などの症状あることから膠原病が疑われ, 精査加療目的に当科転科となった. 成人Still病は診断基準を満たすものではなく, 現在の病態を正確に把握するため, ベタメタゾンとシクロスポリンは中止とした. 入院時血液検査は抗ARS抗体陽性, 筋原性酵素上昇を認めた. 間質性肺炎を伴う抗ARS症候群と診断し, mPSL 500mg×3日間投与し, 後療法はプレドニゾロン(PSL)35mg/dayで開始とした. その後症状は治まっていたが, 3日後に再度発熱・筋痛が出現し汎血球減少も伴った. 骨髄穿刺で貪食像を認めたため, 血球貪食症候群(HPS)と考え, 増悪に起因すると考え125mg/dayで再開. その後は発熱・筋痛は消失し再燃を認めていない. また汎血球減少に関しても治療後は3系統とも血球の改善を認めた. |
---|---|
ISSN: | 0911-4300 |