高齢者早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術 (Endoscopic Submucosal Dissection : ESD) の安全性と有用性についての検討
「抄録」背景: 近年の内視鏡技術の向上や機器の開発により, 早期胃癌(Early gastric cancer: ECG)に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection: ESD)は一般的な治療法として確立している. 現在では高齢者のECGに対してESDが広く行われているが, 併存疾患が多く, 偶発症の発生による全身状態の深刻な悪化が懸念される一方で, 安全性や有用性に対する一定の見解は得られていない. 目的: 当施設の胃ESDの治療成績から, 高齢者に対するESDの安全性と有用性を検討する. 対象と方法: 2006年1月から2016年12月ま...
        Saved in:
      
    
          | Published in | 聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 45; no. 4; pp. 271 - 279 | 
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            聖マリアンナ医科大学医学会
    
        2018
     | 
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0387-2289 | 
Cover
| Summary: | 「抄録」背景: 近年の内視鏡技術の向上や機器の開発により, 早期胃癌(Early gastric cancer: ECG)に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection: ESD)は一般的な治療法として確立している. 現在では高齢者のECGに対してESDが広く行われているが, 併存疾患が多く, 偶発症の発生による全身状態の深刻な悪化が懸念される一方で, 安全性や有用性に対する一定の見解は得られていない. 目的: 当施設の胃ESDの治療成績から, 高齢者に対するESDの安全性と有用性を検討する. 対象と方法: 2006年1月から2016年12月までの間, 当院にて胃ESDを施行した235症例261病変を対象とした. 79歳以下を非高齢者群(Non-elderly: NE群), 80歳以上を高齢者群(Elderly: E群)とし, retrospectiveに両群間の治療成績を比較検討した. 結果: 全体での偶発症発生率は両群間に有意差は認めなかったが, 内容別に検討するとE群にて肺炎が多く認められた(P=0.03). 一括切除率, 完全一括切除率に有意差は認めなかったが, E群において有意に治癒切除率は低く(P=0.03), 処置時間は長かった(P=0.03). 両群間の入院期間に差は認められなかった. 結論: 高齢者早期胃癌に対するESDは肺炎に留意する必要はあるものの, 偶発症全体の発症率に差異はなく, 安全な治療遂行が可能である. | 
|---|---|
| ISSN: | 0387-2289 |