アルデヒド脱水素酵素2 (ALDH2) 遺伝子多型の予防医学的重要性

「はじめに」ヒトアルデヒド脱水素酵素 (ALDH) のアイソザイムは19種知られており, 生体機能維持に様々な役割を果たしている. 例えば, 酸化ストレスの緩和, レチノイン酸やアミノ酸, 神経伝達物質の生成, 脂肪酸の生成等である. このなかでALDH2は, 内因性および外因性アルデヒドの無毒化による細胞障害の抑制を担う. 他のALDHと比較して種々の臓器に広く分布し, 発現量の多いALDHアイソザイムである. また, 多くのALDHアイソザイムがその欠損的遺伝子変異により明らかな先天的異常をきたす (ALDH3A2によるシェーグレン症候群, ALDH7A1によるピリドキシン依存性てんかんな...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 73; no. 1; pp. 9 - 20
Main Author 松本明子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生学会 2018
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ISSN0021-5082

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Summary:「はじめに」ヒトアルデヒド脱水素酵素 (ALDH) のアイソザイムは19種知られており, 生体機能維持に様々な役割を果たしている. 例えば, 酸化ストレスの緩和, レチノイン酸やアミノ酸, 神経伝達物質の生成, 脂肪酸の生成等である. このなかでALDH2は, 内因性および外因性アルデヒドの無毒化による細胞障害の抑制を担う. 他のALDHと比較して種々の臓器に広く分布し, 発現量の多いALDHアイソザイムである. また, 多くのALDHアイソザイムがその欠損的遺伝子変異により明らかな先天的異常をきたす (ALDH3A2によるシェーグレン症候群, ALDH7A1によるピリドキシン依存性てんかんなど) のに対し, 単独のALDH2機能障害では著明な表現型は観察されないことも特徴的である. しかし, 比較的軽度の生体影響を観察すると, 複雑多様かつ正負両方向の表現型を示すことが, 疫学的・実験的検討により示されている.
ISSN:0021-5082