前方すべりを伴う頚髄症手術例の検討

「はじめに」頚椎の変性変化の一つに頚椎前方すべりがある. 腰椎では変性すべり症として, その病態の解明や治療法の選択について論議されているが, 頚椎での同様な研究は少ない. 従って, いまだ一つの疾患としては認知されていないと言える. 手術法に関しても, 通常の頚髄症とは病態上異なる点が多いことから症例に応じた工夫が必要となる. 今回, 頚椎すべりを伴った頚髄症の手術例を検討し, 適切な治療のあり方を考察した. 対象および方法 1995年1月から1997年12月の間に当科を受診した患者で, 頚椎側面中間位レントゲン像により椎体前後径の10%以上の前方すべりが確認できた6例を対象とした. この中...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 48; no. 1; pp. 82 - 85
Main Authors 小西宏昭, 原真一郎, 山口和博, 北原博之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1999
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」頚椎の変性変化の一つに頚椎前方すべりがある. 腰椎では変性すべり症として, その病態の解明や治療法の選択について論議されているが, 頚椎での同様な研究は少ない. 従って, いまだ一つの疾患としては認知されていないと言える. 手術法に関しても, 通常の頚髄症とは病態上異なる点が多いことから症例に応じた工夫が必要となる. 今回, 頚椎すべりを伴った頚髄症の手術例を検討し, 適切な治療のあり方を考察した. 対象および方法 1995年1月から1997年12月の間に当科を受診した患者で, 頚椎側面中間位レントゲン像により椎体前後径の10%以上の前方すべりが確認できた6例を対象とした. この中には, 外傷, 慢性関節リウマチ, 腎透析による破壊性脊椎症, アテトーゼ型頚椎症, 脊椎腫瘍, 頚椎手術後の症例は含まれていない. これらの症例ですべり部位, 頚椎アライメント, すべり部位以外の椎間の高度狭小化, 脊柱管前後径, MRI所見と障害高位との関連, 手術法とその治療成績を調査した.
ISSN:0037-1033