総胆管に穿破した膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の1例

要旨 : 症例は72歳の男性で, 3日前からの腹痛を主訴に近医を受診した. 腹部超音波検査で総胆管の拡張を指摘され, 閉塞性黄疸の診断で当院へ紹介された. 腹部CTでは膵頭部に主膵管と連続する多房性の嚢胞性病変を認め, 主膵管, 総胆管, 肝内胆管の拡張を認めた. 十二指腸内視鏡では乳頭部の開大と粘液の流出を認めた. ERCPでは, 主膵管を造影すると拡張した膵管を経由し胆管が造影され, 総胆管内には浮動性の陰影欠損を認めた. 膵頭部腫瘍からの生検で, IPMNと診断した. 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し, 術後19日目に合併症なく退院した. 病理学的に腸型のIPMN由来浸潤癌と診断した...

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Published in胆道 Vol. 28; no. 2; pp. 200 - 206
Main Authors 高橋大五郎, 平松和洋, 加藤岳人, 夏目誠治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.05.2014
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ISSN0914-0077

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Summary:要旨 : 症例は72歳の男性で, 3日前からの腹痛を主訴に近医を受診した. 腹部超音波検査で総胆管の拡張を指摘され, 閉塞性黄疸の診断で当院へ紹介された. 腹部CTでは膵頭部に主膵管と連続する多房性の嚢胞性病変を認め, 主膵管, 総胆管, 肝内胆管の拡張を認めた. 十二指腸内視鏡では乳頭部の開大と粘液の流出を認めた. ERCPでは, 主膵管を造影すると拡張した膵管を経由し胆管が造影され, 総胆管内には浮動性の陰影欠損を認めた. 膵頭部腫瘍からの生検で, IPMNと診断した. 亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し, 術後19日目に合併症なく退院した. 病理学的に腸型のIPMN由来浸潤癌と診断した. 腫瘍細胞が胆管上皮へ連続するような進展はなく, 穿破の機序として粘液の圧迫による機械的穿破と考えられた. IPMNはときに隣接臓器に穿破することが知られている. 今回, 総胆管に穿破し閉塞性黄疸をきたしたIPMNの1例を経験したので報告する.
ISSN:0914-0077