分娩後に自然消失した下垂体腫瘤の1例

今回我々は, 妊娠末期に視野障害を呈した鞍上部伸展を伴う下垂体腫瘤が分娩後に自然消失し, 下垂体機能低下症が認められた1例を経験したので, 本症例の発生機序について文献的考察を加え報告する. 症 〈患者〉25才, 女性 主訴:視野障害家族歴:特記すべきことなし 既往歴:14才で初潮がありその後の月経は正常である. 24才で結婚し, 妊娠・乳漏の既往はない. 現病歴:1980年10月26日より4日間の最終月経があり, 某産婦人科にて妊娠が確認された. その後の妊娠経過は順調であったが, 1981年7月初旬より頭痛が出現し, 7月中旬より両耳側が見え難いことを自覚し, 7月27日(妊娠第39週)に...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 24; no. 10; pp. 789 - 793
Main Authors 会田敏光, 阿部弘, 馬渕正二, 中川光二, 秋川和聖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1984
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ISSN0470-8105

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Summary:今回我々は, 妊娠末期に視野障害を呈した鞍上部伸展を伴う下垂体腫瘤が分娩後に自然消失し, 下垂体機能低下症が認められた1例を経験したので, 本症例の発生機序について文献的考察を加え報告する. 症 〈患者〉25才, 女性 主訴:視野障害家族歴:特記すべきことなし 既往歴:14才で初潮がありその後の月経は正常である. 24才で結婚し, 妊娠・乳漏の既往はない. 現病歴:1980年10月26日より4日間の最終月経があり, 某産婦人科にて妊娠が確認された. その後の妊娠経過は順調であったが, 1981年7月初旬より頭痛が出現し, 7月中旬より両耳側が見え難いことを自覚し, 7月27日(妊娠第39週)に某院眼科を受診し両耳側半盲を指摘され, CT scanにより下垂体腫瘍を疑われ(Fi.1), 当科に紹介された.
ISSN:0470-8105