胸髄硬膜外血管脂肪腫の1例

「はじめに」脊髄血管脂肪腫は, 我々の渉猟した範囲では世界で70例のみの報告であり, 比較的稀な疾患である. そのほとんどが硬膜外腫瘍(約87%)であるが, そのうち9例に脊柱管を越えて浸潤する症例が存在し, 自験例もこれに含まれる. 大変稀な浸潤性の血管脂肪腫を経験したので報告する. 症例:65歳, 男性 主訴:歩行障害 現病歴:1996年末より両下肢のひきつり感を自覚するようになったため, 近医を受診したが異常を指摘されなかった. 1997年10月より歩行障害が出現し, 11月7日に当科を初診した. 胸椎MRIにて異常認めたため, 手術目的にて11月25日入院となった. 家族歴, 既往歴:...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 48; no. 1; pp. 41 - 45
Main Authors 西田幸司, 馬場逸志, 住田忠幸, 石田了久, 真鍋英喜, 村上健, 大石芳彰, 奥田晃章, 佐藤秀, 土岐明子, 林雄三, 北平裕史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 1999
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」脊髄血管脂肪腫は, 我々の渉猟した範囲では世界で70例のみの報告であり, 比較的稀な疾患である. そのほとんどが硬膜外腫瘍(約87%)であるが, そのうち9例に脊柱管を越えて浸潤する症例が存在し, 自験例もこれに含まれる. 大変稀な浸潤性の血管脂肪腫を経験したので報告する. 症例:65歳, 男性 主訴:歩行障害 現病歴:1996年末より両下肢のひきつり感を自覚するようになったため, 近医を受診したが異常を指摘されなかった. 1997年10月より歩行障害が出現し, 11月7日に当科を初診した. 胸椎MRIにて異常認めたため, 手術目的にて11月25日入院となった. 家族歴, 既往歴:特記すべきことなし. 入院時所見:下肢深部腱反射は両側亢進し, バビンスキー反射は両側に認めたが, クローヌスは認めなかった. 第10胸髄節以下にしびれを認めたが, 明らかな感覚異常は認めなかった. 筋力はほぼ正常であった. 膀胱直腸障害は認めず, 上肢症状を除いた日本整形外科学会頸部脊椎症性脊髄症治療成績判定基準では8/11であった.
ISSN:0037-1033