両側半球の脳出血により聴覚失認を呈した一例に対するリハビリテーションの経験

両側または一側の聴放線聴皮質の損傷により言語音環境音が音として聞こえているにもかかわらず認知できない病態を聴覚失認と呼ぶ. 今回, 我々は左被殻出血と右側頭葉皮質下出血により聴覚失認を呈した一例を経験したので報告する. 症例:56歳, 男性, 主訴:他人の言っていることが理解できない. 既往歴:平成2年に左被殻出血を発症し, 軽度の右片麻痺を認めていたが, ADLは自立していた. 病前に勤務していた会社は脳出血発症時に解雇されたが, 警備会社に復職していた. 公共交通機関を利用して通勤し, オフィスでの軽作業などに従事していた. 明らかな聴力障害は認めなかった. 現病歴:平成12年4月14日,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 39; no. 11; pp. 730 - 734
Main Authors 水野勝広, 赤星和人, 堀田富士子, 内川研, 永田雅章, 千野直一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2002
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ISSN0034-351X

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Summary:両側または一側の聴放線聴皮質の損傷により言語音環境音が音として聞こえているにもかかわらず認知できない病態を聴覚失認と呼ぶ. 今回, 我々は左被殻出血と右側頭葉皮質下出血により聴覚失認を呈した一例を経験したので報告する. 症例:56歳, 男性, 主訴:他人の言っていることが理解できない. 既往歴:平成2年に左被殻出血を発症し, 軽度の右片麻痺を認めていたが, ADLは自立していた. 病前に勤務していた会社は脳出血発症時に解雇されたが, 警備会社に復職していた. 公共交通機関を利用して通勤し, オフィスでの軽作業などに従事していた. 明らかな聴力障害は認めなかった. 現病歴:平成12年4月14日, 初発時, 突然音が聞こえなくなり, 某救急病院を受診した. 頭部CTにより右側頭葉の皮質下出血と診断され, 同病院にて4月19日に開頭血腫除去を施行された.その後徐々に聴力は回復した.しかし,音自体は聞こえるが言葉の内容や音の種類がわからないと訴えるようになった.5月23日,精査・リハビリテーション(以下,リハ)の目的で,当院へ転院となった.
ISSN:0034-351X